一過性の不眠は解消しやすいです。

日常生活で刺激やストレスを受けて起こる不眠は一過性のものが多く、しっかり身体を整えれば、また正常な睡眠に戻ります。

精神的緊張など脳にストレスが加わると睡眠のスイッチが入りにくい状態が寝つきの悪さだと考えられます。
住居環境の変化・異常な暑さや寒さなどは一時的に身体にストレスがかかり睡眠リズムが乱れやすくなります。

身体が耐えうる健康状態であればこのような刺激にも関係なく睡眠が取れますが、健康状態が低いと些細な刺激によって乱れてしまいます。

大切なのが睡眠の質！

寝つきが悪いことによる不眠は、神経の高ぶりやストレスが多くかかって脳が覚醒状態になっていることがあります。
なるべく入眠まで脳を興奮させずに徐々にリラックスして神経の高ぶりを抑えていくようにして寝床につくと良いです。

予定時間より早く起きてしまう場合は、季節柄もありますが寝る体力が低下していることが多いので、生活習慣を正して体力をなるべく消費しないように心がけていくと次第に解消していきます。

睡眠の質が悪いと身体が回復しない事と脳の働きが悪くなり日中の仕事がままならなくなります。
一度だけならまだ耐えられますが、眠れない日が続くと余計心配が増えて眠りづらくなってしまいます。

睡眠は身体の疲労感と脳の疲労感がちょうどよければスムーズに取れますが、脳だけが興奮していることや身体の疲労が溜まりすぎると睡眠に大きく影響してしまします。

このように睡眠が取れない日々や脳や身体の疲労が偏っている時に自分で解決しづらくなってきてしまうので、治療が必要になってきます。

鍼灸で不眠を解消！

鍼灸の考え方

不眠の原因が一過性のストレスによるものであれば身体を整えるように施術する事が基本になります。
ストレス緩和と脳の働きが良くなるように施術します。

一過性のものでない重い不眠の場合には内臓まで影響していることがありますので症状によって施術が異なってきます。

重度の不眠は内臓が関係します

主にストレス以外に関係するのは
・飲食の不摂生が多い
・感情の抑うつや怒りが過度になっている場合
・心労や労倦など（気疲れ、疲れ）
・長く病気にかかっている
これらは臓器を傷めてしまうことがあります。

この状態が続き不眠が強くなると中々自然に解消しにくいです。
また不眠が週に一度ではなくほぼ連日といった重度な状態になってきます。

鍼灸施術の方法

一過性の不眠の場合には身体の副交感神経を高めるように施術していきます。
副交感神経が働く経穴（ツボ）を多用することと、全身の血流が良くなるようバランスを整えることが不眠の施術では重要になります。
（※重度の不眠では根が深いため同じ施術にはなりません。）

鍼灸の経穴では基本的に肘や膝以下の経穴が副交感神経を高めてくれると考えております。
そのため肘や膝以下を初めに刺激して身体がリラックスモードになるようにします。
ここで鍼の先に灸をつける灸頭針（きゅうとうしん）という方法で行うと心地よい刺激になります。お灸の良い香と温かい熱刺激で徐々にリラックスしていきます。

背部の施術では背部兪穴という背骨の両脇にある経穴を使って臓腑の働きを高めて血流を良くしていきます。
基本的には経穴を使うのですが、背部は身体の疲れがとても現れやすい場所なため、細かく触診をして陥凹や硬結に合った施術を行うとより効果が上がります。

背部の硬さが残ってしまうと寝返りがしにくいことや首の緊張に繋がると寝つきが悪くなります。

特効穴　失眠

有名なのが失眠という経穴です。
ここに集めの熱刺激を行うと眠りやすくなります。足裏で踵の真ん中にある経穴で、不眠の際によく使います。
よくネットでも自宅で出来るセルフケアで紹介されています。
ただ揉むよりも少し集めの熱刺激を加える方をお勧めします。当院では失眠に直接お灸を置いて熱刺激を入れます。
温かいというよりも一瞬アツってなるぐらいです。感覚ではピリッとした痛み刺激のような感覚です。
その刺激を３～５回ほど加えると経験上良い反応が出やすいです。

執筆/監修者　

三軒茶屋α鍼灸院　院長　山﨑智史

厚生労働省認定国家資格
はり師
きゅう師
理学療法士

民間資格
筋膜マニュピレーション全コース修了