コロナの後遺症に多い嗅覚障害
嗅覚は普段何もきにしない感覚ですが、いざなくなってみると大切さがわかる感覚器です。
食べ物や飲み物など臭いの風味がしなくなるだけで全然変わります。
チーズは粘土を噛んでいるみたい。コーヒーは全く違う飲み物に変わります。
食事における不快は毎日感じますので相当な不安になります。
この先治らないと思うとショックが大きいです。
鼻はとても細かい作りなためあらゆる影響を受けます。
病気を除いて臭わなくる場合は風邪やアレルギーなどで鼻炎が続いたときが多いです。
鼻周りの炎症や循環の悪さが細かい作りの鼻の感覚を一時的に機能低下させてしまっていると考えられます。
鼻の不調は全身から整える必要があります
鼻は東洋医学でいうと肺と関係します。
ガス交換をする時に鼻は出入口になります。肺から鼻までの間も大切になってきます。
例えば肺が入る胸郭といった肋骨で守られているエリア。
気道がある喉周りなど胸や背部、首の異常も関係してきます。
鼻だけに鍼を施術するわけではなく、鼻に発症する原因を突き止めて施術方針を作ります。
実際に鼻の症状を訴えられる方に多いのが鎖骨下や首の横辺りに圧痛があります。
簡単にご説明しますと空気の通り道を整えると冷却作用が働いて鼻の熱が下がりやすくなります。
そのため鼻だけを活性化しても原因が通り道にある場合は鍼の効果が現れにくいです。
まず全身から鼻に関係する臓器や部位を整えて、次いで鼻を集中して施術することが大事です。
鼻の不調に対する鍼灸施術
鼻近くで影響しやすいのが顎です。
顎周りの筋肉は骨に付くため皮膚に付く表情筋に比べて影響が大きいです。
顎周りの不調がある方は鼻以外で耳にも不調が起きやすいです。
また顎周りの筋肉を柔らかくすると鼻づまりが解消されることがあります。
鼻の機能を上げるために顎の咀嚼筋狙って施術します。
次に鼻の直ぐ横にある経穴に鍼を打ち電気通電することで鼻周りの反応を大きく出します。
経穴でいうと
迎香、上迎香、攅竹が鼻周りで
顔の横にある下関、太陽などを合わせて鍼施術を行います。
軽くズーンと響きが出ると良い反応になります。
ここに刺した鍼から電気を流します。
顔に鍼を打つの?って少し不安になるかもしれませんがほとんど痛みはありません。
電気通電後は様々な道具を使って、より血流が集まるように仕上げていきます。
ご自宅でやれる鍼灸
事情で鍼灸施術が受けられない方には自宅でできる鼻周りのケアを紹介します。
まず胸の上あたりや首が硬い方は、猫背やデスクワークによる肩が内側に入ってしまっているので
ストレッチをお勧めします。
簡単なのは仰向けで寝て頂いて両腕をバンザイのように顔の横に上げるだけです。
この姿勢のまま1~2分ほど力を抜いて伸ばしてください。徐々に胸郭が広がり呼吸をするのが楽になります。
次は入浴中やお風呂後に耳の下を軽く指を使ってマッサージです。この辺りに硬いつまりがある方は鼻づまりが起こりやすいです。
ここはリンパの影響を受けやすいのか強く揉んでしまうと痛みが出るので軽く指で軽めに行うのが良いです。
最後に鼻です。
出来ればお灸を使用してください。お灸を迎香と呼ばれる鼻の横にある経穴にお灸を行います。
今は薬局やネット通販でお灸が買えます。
ただしお灸は火が付きますので細心の注意を払ってください。
お灸も台座が粘着するものを選び鏡を見ながら行ってください。
少し熱い程度のものが良く、同じ個所に3回程お灸をしてみてください。
症例
コロナ後遺症による嗅覚障害 症例1
55歳女性
コロナに感染し、咳と発熱はあったが鼻症状はなかった
味覚は少し落ちたが数日で戻った
嗅覚を失い23日後に当院を受診
以前から気圧により頭痛があり、コロナ後は時々、側頭部に締めつけられるような感じがある
治療
1回目
自覚はないが首肩の張りが強くある
鍼治療は初めてのため、自律神経を整えるよう全身に軽い刺激で治療を行い、首肩を緩め頭部の循環を促した
鼻周りの凝りへ刺鍼を行い終了した
経過
2回目
匂いは少し改善しているが、通常ほどの嗅覚ではない
前回より刺激量を上げ、首周りと鼻周りを中心に施術を行った
3回目
側頭部の締め付け感はなく、嗅覚は通常程度へ改善した
4回目以降は肩こり、腰痛など日々の症状によりメンテナンスとして必要な時に治療を行なっている
執筆/監修者
国家資格
はり師
きゅう師
あん摩マッサージ指圧師
民間有資格
筋膜マニュピレーション全コース修了