「刺絡(しらく)」って聞いてことありますか??
「鍼灸」の中でも少しマイナーな刺絡は、鍼灸師でも名前は知っているけど、実際やったことは無いという方が多いのが事実です。
しかし、【刺絡】は古い文献にも記載がされており、昔から行われていた方法として、とても歴史の長い技法になります。
今回はその【刺絡】についてお話していきたいと思います!
刺絡とは・・・?
【定義】
「刺絡鍼法とは、経絡の流注とその主治作用にもとづき、患者の病態に応じて、皮膚・経穴・血絡を選択し、三稜鍼またはその他の鍼具を用いて浅刺し、症状の血液を放出して経絡の気血の流行を疎通せしめ、症状を緩和し、疾病の治癒をはかる方法である。」
とありますが、少し難しい言葉で書いてあるので
簡単にまとめますと
「 刺絡とは、症状に合わせて皮膚やツボに浅く鍼をうち、
気血の流れを良くすることで症状緩和を目指す方法 」
になります。
東洋医学では、からだには「気」「血」「津液」という
3つがバランスを取りながら保たれているとされており
この「気」「血」「津液」が増えたり減ったり、詰まったりする事で
からだのバランスが乱れ、それが症状として出てくるとされています。
皮ふや指先で、気の流れを阻害している血を採ることによって、
全身の気血の流れを改善し、疾病を治癒させる事が刺絡の目的です。
刺絡はどんなことをやるの?
刺絡には、3種類の方法があります。
① 井穴刺絡(せいけつしらく)
② 皮膚刺絡(ひふしらく)
③ 細絡刺絡(さいらくしらく)
症状やからだの状態に合わせて施術部位を変えていきます。
①井穴刺絡
井穴刺絡は、指先へ施術を行う方法です!
井穴とは、手足の爪の付け根に全部で12か所あるツボになります。
指先は、心臓より遠く離れいて、気温に影響されることが多いため
血行障害を起こしやすいところです。
『 みなさん自分の爪の状態はいかがですか?
爪の色が暗くなっていたり、ささくれ、腫れぼったく動かしにくくはありませんか?? 』
指先の循環障害は
血圧の異常を招くと共に体温調節にとっても障害となります。
そのため、指先の刺絡は、末梢の血液循環障害を改善し
血圧や体温調節にもいい影響を与えることが出来ます。
また、指先の血液循環が改善されると、指先の血色も変化するため
変化を感じやすい部位でもあります!
②皮膚刺絡
井穴刺絡と細絡刺絡以外の刺絡のことを
「皮膚刺絡」と言います。
皮膚や筋肉に、痛みや硬さ、色の変化(黒ずみ・赤さ等)、かゆみなどが出ている場合には皮膚刺絡を行います。
肩や背中はもちろん、ふくらはぎや頭にも症状によって行っていきます。
また、吸い玉(カッピング)を使う方法もあります。
少し、見た目はグロテスクですが
吸い玉の圧により、うっ血を去り、より気血を循環させることが出来ます。
③細絡刺絡
細絡(さいらく)とは
皮膚上にポヤポヤっと出てきているイトミミズのような血管のことです。
みなさんも
『 足首の内側、膝裏、首、肩、腰の周りなどありませんか?? 』
写真のようなものは浮き出てきていないですか?
探してみてください!
ミミズのような血管が出てきているところは
血流の流れが悪く渋滞しているため、皮膚表面まで浮き出てきているとされています。
この流れが悪く詰まっているところに
鍼をうつことで気血の循環を改善します。
どんな時にやるの?
刺絡では、さまざなな症状に合わせて施術を行っていくことができます。
・自律神経の乱れ
・円形脱毛症
・アトピー性皮膚炎
・帯状疱疹
・耳鳴り
・花粉症
・肩こり
など
まとめ
「 刺絡とは、症状に合わせて皮膚やツボに浅く鍼をうち、
気血の流れを良くすることで症状緩和を目指す方法 」
症状に合わせて
・指先で施術をおこなう「井穴刺絡」
・硬いところや皮膚の色が変化しているところに行う「皮膚刺絡」
・血流の悪いところにでる細絡におこなう「細絡刺絡」
の3つの方法がある
様々な症状に対応でき、鍼灸にプラスしておこなうことで
気血の流れを改善する事が出来る