便秘とは?
「大腸内の排泄物(便)の通過が遅くなったり、
便が長時間とどまるなど、排便が順調に行われない状態」
排便のない状態が、3日程度続く場合は「便秘」と言われています。
★注意する症状★
①頑固な腹痛と便秘。お腹がぎゅるぎゅるなり、お腹が異常に張って苦しい場合(慢性の腸狭窄など)
②血便、体重減少、全身倦怠感などがみられる場合(腫瘍など)
③急性の下痢に発熱、嘔吐、みぞおちの痛み、脱水症状、ショック症状などがみられる場合
(細菌性赤痢、食中毒など)
④血液の混じる下痢、発熱、体重減少、粘液便、粘血便などがみられる場合
(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
これらの症状がみられる場合には、我慢せず専門の医師のいる病院へ受診しましょう。
大腸の働き
最初に少し大腸について説明します。
大腸の働きには、食べ物が胃や小腸で栄養を吸収された後、食べ物の残りかすから水分を吸収し、反射によって腸が便を体外に出そうと蠕動運動(ぜんどううんどう)を起こすことで排便を促しています。
鍼灸治療で適応となる便秘
・機能的なものを原因とする場合や情緒的ストレスなどによるもの
・神経性腸疾患や内臓弛緩症による便秘
・習慣性便秘や単純性下痢
・過敏性大腸症候群の便秘、下痢
などが鍼灸治療の対象となります。
今回は、この中から「習慣性便秘」と「過敏性大腸症候群」について説明してきたいと思います。
習慣性便秘
習慣性便秘は大腸の運動機能の低下や排便反射の低下によって、うまく便を排泄できなくなることが原因で「便秘」が起こります。
症状としては、腹痛はないもしくはあっても軽度の腹痛で便意が起こりにくい状態です。排便できた時の便は太く、長期間にわたり便秘を継続し習慣的な便秘になることが特徴的です。
精神的なストレスとの関係は薄いとされています。多くの方はお腹の筋肉の緊張がゆるくなっており踏ん張ることができないような状態になっています。
過敏性腸症候群
腸の運動機能が亢進し、活発的に運動してしまうことによって起こる便通異常と腹部障害のことをいいます。症状としては、便秘と下痢が交換しながら継続していきます。便秘や下痢のほかにも腹痛や腹部の膨満感などの症状も出ます。便秘の際は、ころころとしたウサギの便に似た状態の便となります。症状が精神的ストレスと関係して起こりやすく、頭痛、全身倦怠感などの全身症状を伴うことが多いです。
東洋医学的な考え方
便秘は、東洋では「大便秘結(だいべんひけつ)」と呼ばれていました。
現在では、これを省略して「便秘」と呼ぶようになりました。
便秘になってしまう原因によって4つに分類分けをしました。
①胃腸の熱 による便秘
辛い食べ物やお酒など熱を持っている食べ物を食べ過ぎると、身体を潤すための「津液」が傷つき少なります。そのために胃腸が乾燥状態になり、この便秘が起こりやすいです。乾燥して潤いが足りなくるとこと便も乾燥し、するっと排便できないようになります。これによって便秘になります。熱によって起こる便秘のため「熱秘(ねつひ)」といいます。熱病により神経を損傷した場合も便秘が起こります。熱によって起こる便秘のため、顔や身体がほてったり、顔が赤くなったり、口臭がきつくなりします。
②肝鬱(かんうつ) による便秘
「肝」は、感情をコントロールしたり、体の気を体の隅々までめぐらす役割をしています。そのため感情が不安定になると気の巡りが悪くなり、そのために腸の伝導機能が悪くなると、便を送り出すことができずにこのタイプの便秘が起こる。また、長期にわたって座っている時間が長く、あまり動かないことが多いと同様に気の動きが悪くなり便秘が起こります。気のめぐりがが悪くなることで起こる便秘のため「気秘(きひ)」といいます。気が溜まっているため、おならやげっぷが出やすく、お腹の張りが強くなりします。
③気虚(ききょ)、血虚(けっきょ) による便秘
病後または産後は、身体のエネルギーとなる気や栄養をめぐらすための血が失われます。失った気や血が回復しないと、気虚となり便を動かすエネルギー不足また血虚のために腸が潤いを失い便が動かないために、このタイプの便秘が起こります。老化により気や血が不足した場合にも、このタイプの便秘が起こりやすいです。気や血が不足して虚することによって起こる便秘のため「虚秘(きょひ)」といいます。身体にエネルギーが足りない状態のため、体が常に疲れやすくなったり、動悸息切れ、少し動いただけで汗が出てしまいします。
病後または産後は、身体のエネルギーとなる気や栄養をめぐらすための血が失われます。失った気や血が回復しないと、気虚となり便を動かすエネルギー不足また血虚のために腸が潤いを失い便が動かないために、このタイプの便秘が起こります。老化により気や血が不足した場合にも、このタイプの便秘が起こりやすいです。気や血が不足して虚することによって起こる便秘のため「虚秘(きょひ)」といいます。身体にエネルギーが足りない状態のため、体が常に疲れやすくなったり、動悸息切れ、少し動いただけで汗が出てしまいします。
④腎陽虚(じんようきょ) による便秘
生まれつき虚弱体質の方や年配の方で暖かいエネルギーの「陽気(ようき)」が不足してしまうと、身体を温める作用の「温煦機能(おんくきのう)」が低下してしまいます。そのために身体は冷たくなり、便は凝結し硬くなります。すると排便困難となり便秘となります。身体が冷たくなることで起こる便秘のため「冷秘(れいひ)」といいます。手足が冷え、顔色が白く、お手洗いが近くなるなどの症状が出ます。
便秘の治療法
通常排便は、自律神経が関与し、身体がリラックスする「副交感神経」が強く働いているときに行われます。しかし、便秘になっている方の多くは「副交感神経」の働きが弱くなっている場合もしくは日常活発的に行動するための「交感神経」の働きが強くなっています。
東洋医学では、鍼やお灸で手足にあるツボを刺激すると、自律神経系・免疫系・内分泌系・骨格筋・神経系と身体の様々なところへ作用します。
鍼やお灸によって身体の外側から刺激を与えることで、「体性ー内臓反射」という反射が起こり、内臓器へ反射をひきおこすことができます。この反射を使って乱れた自律神経が正常に整えていきます。
日々のストレスや生活習慣によって、自律神経が乱れていくため一回の治療で治ることはありません。今出ている症状の治療と同時に原因となっている自律神経の乱れを整える治療を行っていくことをお勧めします。
最後に!!
最後に!!
自律神経の治療は、鍼灸治療の得意とする分野です。
鍼灸治療に加えて当院では、「自律神経測定機」という測定器があります。この機械によって交感神経と副交感神経のバランスをリアルタイムで測ることができます。自分では気づきにくい自律神経の乱れを客観的に確認する事ができ、さらに定期的に測定器で測ることで、治療経過や症状の改善度合いを自分自身で知ることができます。そのため「自律神経測定器」より効果的に治療を進めていくことが可能になります。
自分でも原因のわからない症状、なかなか良くならない症状でお困りの方はぜひ当院で自律神経の乱れを整えてみませんか?
便秘のことでお悩みの方やそのほか体の不調のお悩みの方も一度当院へお越しください。