中耳炎とは
中耳炎は、細菌やウィルスによって耳の中耳に炎症が起きる病気で、子供がかかりやすく生後から1歳までに6割、3歳までに8割の子供に少なくとも1回はかかると言われています。また、1度かかると繰り返しやすい疾患でもあります。
化膿性中耳炎
化膿性中耳炎は一般的には急性中耳炎と言われるもので、風邪を引いたあとに鼻に残っているウイルスや細菌が耳管を通り中耳に感染して発症します。
中耳に急性的にできる炎症で、主な症状は耳の強い痛み、耳がつまるような閉塞感、耳垂れ(耳漏)、発熱があり、時には39度〜40度の高熱を出す事もあります。
滲出性中耳炎
化膿性中耳炎が治りきらなかったり、何度も繰り返し起きると約1割が滲出性中耳炎に移行すると言われています。滲出性中耳炎は、中耳にウイルスや細菌が入り炎症が起きると炎症部から膿のような水が滲み出てきます。通常は、中耳炎の膿は中耳の粘膜に吸収されるか中耳と鼻を通じている耳管を通りのどや鼻から外に排出されるのですが、副鼻腔炎やアレルギー性の鼻炎や喉に炎症を起こしている場合は耳管の働きが悪くなり、排出されにくくなるので中耳腔に膿が溜まってしまいます。
滲出性中耳炎の特徴としましては、急性中耳炎と違い強い痛みや発熱は伴わず、中耳に水が溜まる事により音の振動が伝わりにくく難聴や耳が詰まるといった症状が出ることが多いです。しかも難聴は軽度の場合が多いため気が付きにくいのも特徴の1つです。
穿孔性中耳炎
穿孔性中耳炎は慢性中耳炎の一種で、化膿性中耳炎や滲出性中耳炎が長引くことにより鼓膜に穴が開いてしまう病気です。主な症状は難聴と耳漏で痛みは伴いません。鼓膜の穴は自然と塞がるのですが、炎症が治まりきらないと塞がれないことがあります。塞がらないことにより、孔から細菌が入ってしまい炎症を悪化させてしまうのと同時に、内耳の耳小骨に音がうまく伝わらなくなり難聴をおこします。
真珠腫性中耳炎
真珠腫性中耳炎とは、中耳に「真珠腫」と呼ばれる塊ができてしまうもので、炎症を繰り返す事により鼓膜の一部が内側に向かいへこみができ、そこに耳垢などが溜まることによって白い塊ができてしまいます。この塊が白い真珠のように見えるためこの名が付けられました。耳道は常に古い組織は排出し、新しい組織を作り直しています。耳は「自浄作用」があり、咀嚼や会話など顎を動かす事により垢を外耳道の方に運んだり、内耳道→中耳道→外耳道と外方向に向かって新しい皮膚細胞が生成されるのですが、新しい皮膚が作られると古い皮膚から順めぐりに垢が排出される仕組みになっています。しかし、鼓膜が内側の方に引っ張られてしまうとこの順めぐりのサイクルが逆に進んでしまい、耳の奥に垢が溜まってしまいます。真珠腫性中耳炎は初期段階では症状がほとんどありませんが、進行すると耳垂れや難聴、合併症としてめまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、脳膿瘍が現れることもあります。
真珠腫は音を振動して伝える役割をする耳小骨を溶かしてしまい難聴を起こしてしまいます。
中耳炎の原因
中耳炎の1番の原因は風邪やインフルエンザです。風邪をひく事により鼻や咽喉の上気道にウィルスや細菌により炎症を起こします。そのウィルスや細菌が鼻と耳を繋ぐ耳管を通り耳に感染し炎症を引き起こします。
感染は自律神経の働きが低下しているのが原因と言えます。子供はまだ身体の状態が未発達なためちょっとしたストレスや生活習慣の乱れにより自律神経の働きが弱体化しやすくなります。自律神経が働かないと免疫力が著しく低下します。
そのため大人でも、ストレスや睡眠不足、疲労の蓄積などで自律神経が乱れ中耳炎にかかる方もいらっしゃいます。生活習慣を改善することで中耳炎は改善されやすいですが、仕事をしていてストレス社会に生きている大人は、ストレスを減らし生活習慣を正す事はなかなか難しいです。大人が中耳炎に発症すると、耳が痛むほかに鼻水が出る、頭痛がするなどの症状が出て、慢性化し悪化すると難聴や耳鳴り、めまいといった別の症状も出てしまいます。
中耳炎の西洋医学的治療
中耳炎の一般的治療は、抗生物質や鎮痛剤を使い炎症を抑えたり細菌の増殖を抑える事を行います。また症状に合わせて点耳薬としてステロイド剤が配合されている抗生物質も処方されることがあります。発症してからあまり時間が経ってなく、中耳に膿や浸出液が溜まってない状態であれば約一週間ほどで治ると言われてますが、膿や浸出液が溜まっている場合だと外に排出しなければなりません。そうなると鼓膜に穴をあける鼓膜切開という手術をしなくてはいけないので、完治まで時間がかかってしまいます。そうならない為にも、耳の異常を感じたらいち早く対処しなくてはいけません。
中耳炎の東洋医学的考え
耳は、東洋医学での「腎」と深い関わりを持っています。腎は耳に開竅すると言われ、腎が弱まると耳に異常をきたすと言われています。腎は耳以外にも、骨や歯、ホルモンや排尿、インポテンツ、冷え性、腰痛、脱毛や白髪など幅広く関わりがあります。
また、「腎の陰液」と呼ばれる腎の栄養水のようなものがあります。この腎の陰液が不足する事によって陽気の亢進がおこり炎症反応を起こすと言われています。これを東洋医学では「腎陰虚」といいます。
中耳炎の三軒茶屋α鍼灸院の治療
まず、免疫力を高め自律神経の乱れを改善させるため、仰向けで自律神経調節治療を行います。中耳炎にかかるとさらにそのストレスが重なって筋肉の凝りや張りが出てきてしまいます。筋肉が凝り固まっていると全身にリンパや血液循環も悪くなり、中耳炎が治りにくくなってしまいます。それを解消するためにうつ伏せになり、肩首まわりを中心に筋肉の凝りを緩めていきます。最後にメインである耳周りに鍼を打ち、低周波の電気を流していきます。電気を流す事によって炎症部分の回復を早め、脳内麻薬の分泌を促す事により鍼の鎮痛作用を引き出し痛みを抑えていきます。症状が強い場合は更に耳の周りにお灸をし、炎症を抑えていきます。鼻炎や咽頭に炎症が残っている場合はそちらの治療も同時に行っていきます。
乳幼児や小児は自分から痛みや発熱を訴える事はあまりないので、耳に触れる事が増えたり、不機嫌になり頻繁に泣く事があったり、呼びかけに反応しない、粘りのある鼻水が長期間出続けるなど、これらのサインがある場合は急性中耳炎の疑いがあるので注意が必要です。
中耳炎を悪化させないためにも、疑いがある場合は早めの対処が重要です。