耳管開放症とは?
耳管開放症(じかんかいほうしょう)と言う診断名はもしかしたらあまり聞きなれない言葉かもしれません。
耳管は普段は閉じているものですが、様々な要因によってこれが閉じなくなった状態が、耳管開放症と呼ばれるものです。
まず耳管と言うのは耳の中耳(鼓膜の中にある空間)と鼻の中をつなぐ管です。
耳管は主に軟骨と線維組織で出来ています(一部は骨)。
耳管自体には筋肉は無いため、自身で伸び縮みはできません。
では耳管の開閉を担っているのは何でしょうか?
それは主に口蓋帆張筋(こうがいはんちようきん)と言う筋肉です。
この筋肉が耳管に連結している軟骨を引っ張る事で耳管が開きます。
飲み込みやあくびの時にこの筋肉が働き、中耳内と外部の気圧を等しく保つ機能(耳抜き)となります。
一方、耳管を閉じる機能には何が関与しているでしょうか?
実は耳管の周囲には脂肪組織(オストマン脂肪体)があります。
この組織が耳管を圧迫して支えていると考えられています。
ですので急激なダイエットなどによりこの脂肪組織が減少すると耳管を閉じる力が減って、開きやすくなってしまうと考えられています。
また脂肪組織の減少以外の要因としては、ホルモンバランスの乱れ、自律神経の乱れによる耳管周囲の血管収縮などによっても起こるとされています。
その他、顎関節症などあごの問題がある場合にも耳管に影響する事があります。
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耳管開放症の一般的な治療法
自律神経の乱れが原因とされた場合は漢方薬や血管拡張薬の服用により改善するケースもあるようです。
また重度の場合は手術を勧められる事もあります。
例えば耳管ピン挿入術と言うのがあり、これは鼓膜を切って中耳に入り、耳管の耳側の部分にピンを挿入し、耳管を狭くする方法があります。
その他に鼻の方から耳管へ到達し、充填剤などを注入して耳管を塞ぐ方法もあります。
しかし現実はこれらの方法ではなかなか改善しないケースが多いようで、そのような方が整体や鍼灸に通われる事が多いです。
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鍼灸から見た耳管開放症
上記にある通り、耳管周囲の血行状態によっても耳管開放症は影響を受けるため、血行改善するために自律神経を整える目的で鍼灸施術を行います。
また耳管に関わらず体内の組織には筋膜が張り巡らされています。
この筋膜のテンションに異常がある事でも耳管の機能が落ちてしまうと考えられています。
このテンションは体表の筋膜とも連結しているため、体表の異常なテンションを調整する事で耳管周囲のテンションも調整され、症状が緩和していきます。
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整動鍼®️から見た耳管開放症
整動鍼®️において、耳の症状は首、肩、背中、アゴ周りの緊張と関連が深いと考えています。
全てのメカニズムが解明されている訳ではありませんが、経験としてそれらの部位の緊張が正常になっていくにつれて、耳管開放症の症状が緩和していく事が多いです。
ただし整動鍼®️では首、肩、アゴ、背中などざっくりとした緊張の調整ではなく、首のこの位置や動きにはこのツボ、背中のこの部位にはこのツボで緊張を調整する、と言うように細かい部分によって使うツボが全く異なってきます。
それくらい繊細にツボを使い分ける事で初めて適切な緊張に調整する事ができるからです。
そのため基本的には耳の周囲や首、アゴ周りには鍼をしません。
なぜならその辺りの緊張を作り出しているのは他の部分にあるツボの影響だからです。
また患部周囲に鍼をすると返って症状が悪化するリスクもあります。
そのため首肩、背中、アゴ周りの緊張を丁寧に探り、適切なツボを使って調整していくのが整動鍼®️の特徴となります。
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