耳鳴りのメカニズム
キーンとした、シューとした、ジーっとした音など、耳鳴りと言っても音の種類は様々あります。
大きく分けると高い耳鳴りか低い耳鳴りを感じる事が多いです。
耳鳴りのメカニズムはまだ完全に解明されているわけではありませんが、現在最新の研究では、「耳の不調を発端にして、脳が過剰に反応して音を作り出す現象」であるとされています。
特に難聴をきっかけに出てきた耳鳴りは、聞こえない音を脳内で増幅するがために耳鳴りとして症状が現れているのではないか?と考えられています。
耳の内部にある「内耳」が原因で起こる難聴・耳鳴りは、内耳への血流が不十分な状態が続く事で、内耳機能が低下し起こるとされています。
実際に血流をよくするために大量のビタミンEやマグネシウムを服用する事で改善されたというケースもあるようです。
後述しますが、鍼灸でも基本的には内耳への血流を良くするようにアプローチしていきます。
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耳鳴りの原因となる病気
耳鳴りの原因となる病気は様々あります。
①突発性難聴
ある日突然、聴力が低下する病気です。いきなり耳が聞こえなくなります。
難聴と同時に、あるいは後から耳鳴りが出てくる事が多いです。
この場合は早急に耳鼻科を受診し、ステロイド治療を開始しないといけません。
そして可能であれば耳鼻科での治療と同時並行で鍼灸施術を開始した方がいいです。
どの病気でも鍼灸施術の開始は早い方が良いのですが、特に突発性難聴は時間との勝負になります。
施術開始が1週間遅れるだけで、予後が変わってくる事も多いです。
そして耳鼻科でのステロイド治療も約30%の人にしか効果が出ないという研究もあります。
ですのでステロイド治療と同時に鍼灸をオススメします。
②メニエール病
この病気は耳鳴りの他に強い回転性のめまいが特徴的です。その他に難聴や耳の詰まり感が出る事もあります。
これも原因はよく分かっていないのですが、内耳の中のリンパ液が増えすぎているとされています。
そのため病院では利尿剤や漢方を処方される事が多いです。
③加齢性難聴
加齢に伴い内耳の機能が低下する事で難聴が出てきます。そしてその難聴により耳鳴りが発生してしまいます。
④その他
中耳炎、顎関節症、循環器系の病気などでも耳鳴りの症状が出る事があります。
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鍼灸から見た耳鳴り
鍼灸においても耳鳴りの原因は内耳の血流が悪い事によって起こると考えるケースが多いです。
ですが薬のように中から血流を良くする事は鍼灸ではできませんので、血流に関与する自律神経の調整や首肩周りの緊張を調整する事で、内耳への血流を促進していく事になります。
特に耳鳴り含め耳の症状の場合、首、アゴの緊張を調整していく事が多いです。
ただ首やアゴの筋肉に直接鍼をするのでは効果が薄い事が多いです。
と言うのも首やアゴ周りの筋肉の緊張の原因は、全身から影響を受けているからです。
ですので首、アゴと言ってもその緊張が出ている部分を丁寧に探りわけ、その部分の緊張の原因となっているツボを施術していきます。
首でも緊張部位の高さが少し異なるだけでも使うツボが変わってきます。
それくらい緊張の調整は慎重なものになります。
アゴに関しても同じで、口を開ける動きが悪いのか、かみしめが強いタイプなのかなどによっても身体の緊張部位は変わりますし、使うツボも変わってきます。
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もう一つの原因
鍼灸から耳鳴りにおいて、もう一つの原因が考えられます。
それは頭部に熱がこもってしまっている状態です。
特に頭部が熱く、下半身が冷えていたり、のぼせ・頭部顔面部からの発汗などがある場合、熱のこもりを考慮して施術していきます。
熱のこもりを解消するには、やはり首に問題がある事が多く、首の緊張を調整していくと熱が循環するようになり、耳鳴りが軽減していく事が多いです。
またお腹や股関節周りの緊張があると下半身の循環が悪くなり、下半身の冷えと、それに伴って頭の熱がこもってしまうため、お腹や股関節周りの緊張を調整するようなツボも使用していきます。
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まとめ
⚫︎鍼灸では首肩やアゴ周りの緊張を調整し、内耳への血流促進をはかる
⚫︎のぼせの解消が奏功する状態もある