耳管という器官
耳は外耳、中耳、内耳の3つのエリアがあります。外から耳の中をのぞくと奥には鼓膜があり、その鼓膜のさらに奥が中耳エリアです。
この中耳エリアには、耳小骨という3つの小さい骨があり、音を伝達する役割があります。
この同じ中耳エリアに鼻(上咽頭)へ繋がる管があります。これが耳管です。
この耳管は気圧調整などをする役割があり、普段は無意識にあくびや唾を飲み込み気圧調整を行っています。
耳管は普段は閉じている事で上咽頭の雑菌などの侵入を防いだり、鼓膜からの振動を安定させて伝える役割がありますが、反対を言うと耳管が開きっぱなしになるという事は、鼻や口からの空気が耳管へ入る事で音も一緒に入ってくるので、自分の声が響きやすいという事になります。
耳管解放症の主な原因は?
上咽頭に炎症がある方、急激なダイエット、ピルの服用、睡眠不足、過労、自律神経失調症と併発して耳管解放症の症状が出る方もいます。
仕事やプライベートなどで無理をしてしまう事が症状誘発するきっかけになる事が多いです。
自律神経と耳の関係
自律神経と耳は深い関係があります。
身体に過度なストレスがかかった時、自律神経系のバランスは乱れやすくなります。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、日中は交感神経が優位、夕方から夜は副交感神経が優位になり、お互いが拮抗するように働きます。
脳がストレスを感じると視床下部から脊髄を介して交感神経を興奮させます。その交感神経末端から放出されるノルアドレナリン(神経伝達物質)は身体に緊急事態をお知らせし各臓器はそれを感知、反応を示します。
交感神経とともに副腎髄質からはアドレナリンが分泌します。このアドレナリンはホルモンとして交感神経の興奮を維持や増幅させるものです。
ストレス過多が続くと身体がその環境に適応させる為、副腎皮質からストレスホルモンと言われるコルチゾールなどが分泌します。
本来、交感神経は敵に遭遇した時、戦うか逃げるかどちらにも対応出来るようにアクセル役をする神経です。
血管は収縮し血流は悪くなり、筋肉は過緊張、心拍数は上がり呼吸も速くなります。身体が危機的状況に対応するために備えていますが、長期間続く事で身体には大きな負担になります。自律神経によってコントロールされている臓器は影響を受けるので、各臓器の不調から多種多様な不定愁訴に繋がる要因になります。
耳管解放症と自律神経失調症は併発する事が多く、長期間のストレスから副腎の機能低下(副腎疲労)から発症するケースもあると考えられます。
耳管解放症か…耳管狭窄症か…
耳管狭窄症は耳管の粘膜に炎症が発生し、腫れる事で耳管が塞がれて起こります。
耳管が閉じた時間が長くなれば、鼓室は陰圧になり(気圧が低くなり)鼓膜が内側に凹んだ状態になります。鼓膜は凹んだ状態だと動きは悪くなり、
耳つまり感を感じるようになります。
耳管解放症と耳管狭窄症は感じる症状自体はあまり変わりません。区別するなら耳管解放症の方が症状の出方は強い、又は症状がある側を下にして横になると症状が緩和するのは、耳管解放症の事が多いみたいです。
耳管狭窄症は、耳管に炎症がある為、患側を下にすると血液が患側に集まるので症状は悪化します。
正確な病態の把握は医師の診察を受けましょう。
鍼灸治療で改善させよう!
手や足にある経穴(ツボ)に鍼やお灸を据える事で自律神経のバランスを整えていきます。
全身の血流を良くさせていき巡らす事は、機能低下している耳管を回復させることに繋がります。
交感神経優位になると血管は収縮し、筋肉は過緊張するため身体の冷えや肩こりなどの不定愁訴が現れやすくなります。また長期間のストレスは、副腎を疲労させ、付随する症状としては疲れが取れない、不眠、イライラ、免疫力の低下などに繋がっていきます。
東洋医学では、身体の中を巡る「気」(エネルギー)を補う、または巡らす事で身体は元気になり回復を早めます。
最後に…
耳管解放症は、精神的.肉体的ストレスどちらも大きく関わります。
特に女性の発症者は、女性ホルモンの影響もあるて考えられる為、ピルを服用されている方など、服用を中断したら症状が緩和されたケースもあります。
まずは、お近くの医師へご相談ください。