原因と対策
子宮内膜症や甲状腺機能不全との関連が示唆されていますが、疾患を患ってなくてもPMS症状が存在する事もあります。
仕事をするようになってからPMS症状に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
人間関係からくるストレス、忙しさから偏ってしまう食生活、運動不足、残業や夜遅くまで続く会食.飲み会、夜型になり不規則になる生活、全て症状を悪化させる要因になります。
何故PMS症状が起きるのか…と考えた時に、まずは体内の組織バランスの乱れがあると考えます。
ご自身ですぐに始められる対策としては、乱れた食生活の立て直し、規則正しい生活です。
乱れた食生活が直接的な原因ではないにしても、口から摂取した栄養素でエネルギーを生み出し健康を維持していると考えるならPMSを悪化させない為に取るべき栄養素と取るべきではない栄養素とを分けて考える必要があると思います。
規則正しい生活=良い睡眠(質や時間)と捉えるなら、睡眠に影響を及ぼすカフェインを控える又は断つ事も必要と考えます。
決まった時間にベッドに入って決まった時間に起きる、を繰り返し習慣づけるなども有効です。
朝起きてからすぐに太陽の光を浴びる(眼に光が入る)とその日の夜は深い眠りに入りやすくなります。逆に太陽の光が少ないと日中やる気が出なかったり、夜の睡眠に影響を及ぼす事が知られています。これはセロトニン(幸せホルモン)の分泌に関わると考えられていて、PMS症状はこのセロトニンの分泌量と深い関係があります。
甲状腺機能不全
甲状腺の主な役割は、代謝と体温調節です。
PMSと甲状腺異常は切っても切れない関係で、辛いPMS症状をお持ちの方は、甲状腺異常を認める方が多いのも事実です。
腹痛(生理痛).過少や過量月経.不正出血.不妊症.不規則な月経周期は甲状腺機能不全が原因の可能性もあります。
PMSの増悪因子…偏った食事①
◯積極的に取りたい栄養素
・マグネシウム…筋肉の収縮にかかわります。
アーモンド.納豆.豆乳.にがりなど。
にがりを湯船に入れて皮膚から吸収させると筋肉がほぐれやすくなり生理痛の緩和に繋がります。
・ビタミンD…生理痛やPMSを軽くします。
子宮内膜の状態にも良い影響を及ぼします。
紫外線を浴びる.さんま.いわし.卵.生きのこ類など。
・ビタミンE…血流を良くさせます。
アーモンドミルクなど。
・鉄分…血流を良くさせます。
ココア.鶏の肝など。
・オメガ3系…生理痛を軽くします。
エゴマ油.亜麻仁油.魚の油(DHA.EPA)など。
・オメガ9系…生理痛を軽くします。
オリーブオイル.ごま油.アボカドなど。
・タンパク質…筋肉やホルモンの材料となります。鉄を身体に吸収させるのにも必要です。
タンパク質不足は身体の筋肉を分解します。
平熱が高めの方は生理痛を感じにくいとも言われています。
・亜鉛…肌の炎症を抑えたり感染症にかかりにくくします。骨も丈夫にするので積極的に摂りたい栄養素です。理想は1日10mg。
牛肉.豚肉.アーモンド.卵.高野豆腐など。
・カルシウム…骨を強くする=生理痛.PMSも軽くします。
PMSの増悪因子…偏った食事②
◯PMSを悪化させる可能性があるもの
・カフェイン…マグネシウム.鉄分.カルシウムの吸収を妨げます。
コーヒー.紅茶.緑茶.チョコレートなど。
・食品添加物…
*タール色素…体内で分解されにくく、自律神経のバランスを乱す危険性があると指摘されています。
お菓子.菓子パン.紅しょうが.たくあん.口紅など。
*アスパルテーム(人口甘味料)…カロリーゼロでも血糖値は上昇します。甘味を摂取するとセロトニンは分泌しますが、人口甘味料ではセロトニンは分泌しません。
*リン酸塩…かまぼこなどの練りものに入っています。体内にリンが増えると体内のバランスを取る為に骨からカルシウムを奪い、さらにマグネシウムも身体から奪います。
*ポリリン酸…亜鉛の吸収を妨げます。
カップラーメンやソーセージに含まれます。
・油…
*オメガ6系…痛みの元になる油です。
サラダ油やバター.生クリームなど。
無理に控える事でストレスがかかるのなら影響が出ない量を加減しながら付き合いましょう。
PMSの増悪因子…過剰なカフェイン摂取
カフェインは、コーヒー.紅茶.緑茶.コーラ類.チョコレートなどに含まれます。
カフェインは中毒性があり、耽溺してしまっている方は断つまでに時間はかかると思いますが、一度完全に抜くとそこからは欲しくなくなるという方も多いです。一度お試しください。
PMSの増悪因子…ストレス&運動不足
適度な運動はPMS症状を軽くします。
有酸素運動は身体の循環器に良い影響を与え、血圧や血中コレステロール.脂肪酸を低下させる効果があります。軽い運動は身体の緊張がほぐれリラックス効果もあります。
PMSの増悪因子…睡眠障害
働くようになると自分の時間が取れず、どうしても夜型の生活になりがちです。
一日中やる気が出ない、疲れているのに夜眠れないなど、自律神経のバランスが乱れている可能性もあります。
休日の朝ゴロゴロしたい時は、まずカーテンを開けてお部屋に太陽の光を入れましょう。
朝ごはん(ジュースなどではなく噛んで食べるもの)を摂ることも乱れた体内時計をリセットするのに有効です。
良い睡眠の為に、カフェインの摂取時間にルールを作る(又はカフェインを断つ)、毎日同じ時間に寝る、同じ時間に起きる、を習慣付けていく事、寝る直前までスマホ等を見ない、寝る2時間前までにお風呂(湯船に浸かる)はすましておく、毎日少しの意識づけで眠れる環境を作っていきましょう。
しっかりと睡眠をとろう!!
良い睡眠のために摂るべき栄養素は、必須アミノ酸です。
*トリプトファン
バナナ.牛乳.卵黄.魚.チーズ.大豆.じゃがいもなどから摂取できる必須アミノ酸です。
必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニン(幸せホルモン)は合成されます(一緒にビタミンB6.鉄分も必要)
セロトニンが不足した時、身体はトリプトファンを取り込もうと働きます。トリプトファンを取り込むために脳はインシュリンが必要となり、この働きが砂糖や炭水化物の欲求になると考えられます。
鍼灸治療
当院は、自律神経の測定器で自律神経の状態を測ってから治療に入ります。
自律神経は日中交感神経優位で活動し、交感神経が下がるタイミングで副交感神経が優位になり、身体は寝る準備(リラックス)をしていきます。
ストレス過多や乱れた生活でこの自律神経のバランスが乱れやすくなり、身体が重いだるい.疲労が抜けにくいと感じる要因になります。
まずは腕や足、体幹にあるツボを使って自律神経機能を調整していく治療を行っていきます。
交感神経優位になりやすい方は身体の筋肉が過緊張しています。首や肩、背中が辛いという方も多いです。身体のコリが強い部分を緩めていきリラックス出来る身体へ導きます。
最後に…
毎月来るものだから…と諦めず、治療を継続していく事で身体は必ず答えてくれます。
このコラムが自身の食生活や睡眠などを見直すきっかけになれば嬉しく思います。
三茶はりきゅう院は現在、女性鍼灸師3名在席しております。
女性疾患でお困りの方は、一度お問い合わせください。