シェーグレン症候群の病態
自己免疫疾患とは、自身の身体を守る免疫細胞が自分の細胞を敵と勘違いし、自分で自分を攻撃する疾患である。
シェーグレン症候群は、主に分泌腺が攻撃され、唾液腺が障害されると口腔乾燥症、涙腺が障害されると乾燥性角結膜炎などを発症する。そしてさまざまな臓器障害をきたし、さらに関節リウマチ.全身性エリテマトーデス.橋本病などを合併する事が多い。
関節痛はシェーグレン症候群にかかっている人の半数以上が悩まされているとも言われている。
また、吐き気やガンガンする激しい頭痛も多く、慢性的な頭痛となり集中力の低下.めまい.精神疾患と発展していくこともあるので注意が必要。
鼻や気管支にも粘液腺という分泌腺があり、その機能が低下すると肺感染症などの呼吸器感染症にかかりやすくなる。
40.50代の女性に多く発症する。
男女比は男1:女17
膠原病の合併をしていない場合は、原発性(一次性)シェーグレン症候群と言われる。ドライアイ.ドライマウスに悩まされているが日常生活に支障をきたしていないこともある。
シェーグレン症候群の他に違う自己免疫疾患を患っている場合は、続発性(ニ次性)シェーグレン症候群と言う。
主な症状
口腔乾燥症
→嚥下困難.味覚変化.虫歯増加など
乾燥性角結膜炎
→眼の異物感.羞明.目やになど
関節炎
→30-60%の割合で関節炎を認める
骨格筋力低下
→筋肉脱力感や筋痛なども認める
→筋力低下はリウマチなどの可能性もある
乾燥症状
→膣乾燥.皮膚乾燥が生じ、皮膚の掻痒感を認める
消化器症状
→胃液分泌低下による萎縮性胃炎や唾液腺分泌低下による逆流性食道炎などもある
原発性シェーグレン症候群
→30-35%の割合でレイノー現象がみられる
→自然流産.早産.不当軽量児出産が多い
など。
医師の診断
口や目の強い渇きを感じられる場合は、一度医師の診断を受ける必要がある。
診断は、主に唾液の分泌量.涙の分泌量.血液検査.生検組織検査などがある。
また、シェーグレン症候群とは違う自己免疫疾患が絡んでいる可能性もあるため、医師の診断も難しく慎重となる。
治療
シェーグレン症候群の治療においては、医師の診断の上、西洋医学的な治療が優先ではあるが、ドライアイ.ドライマウスの症状は鍼灸適応となる。
症状改善を目的に約3か月ほど長めの治療計画を見ていただいき、最初の1か月は、週に2回ほどの間隔で詰めて治療を行い、徐々に治療間隔を延ばしていくと効果的。
唾液腺の障害がある場合は支配神経である顔面神経を目標に鍼を行う。
主に翳風穴.聴会穴.下関穴など。
涙腺に障害がある場合は、涙腺分泌亢進を目的に目の周囲にある経穴.手足末端部にある経穴などを使い機能改善をはかる。
自己免疫疾患の場合でも自律神経の乱れが見られることが多いため自律神経の調整をする治療も合わせて行う。
最後に…
シェーグレン症候群の原因は、いまだ特定されるまでには至っておらず、根本的な治療法がないのが現状。
予後は症状自体、寿命を縮めるというわけではなく、個々の症状に対してきちんと治療していけば重症化することは少ないといわれている。
ただ間質性肺炎など、その他自己免疫疾患を併発した場合は死にも至る危険性の病気です。
症状が慢性化し、心身ともにストレスを感じて免疫力の低下に繋がったり、うつ病などの精神疾患を患うことがあるので症状に気づいたらすぐに治療を行っていくことが重要となる。
心身共に安静を促す時間を作ることが大切です。