微熱が起こるメカニズムについて
微熱は、私たちの体が何らかの異変を感知し、それに対応しようとする過程で起こる現象です。
微熱が起こるメカニズムの簡単な流れ
1. 異物の侵入
体内にウイルスや細菌などの異物が侵入すると、免疫細胞がこれらを攻撃し始めます。
2. 免疫細胞の活性化
免疫細胞が活性化されると、体内に「サイトカイン」と呼ばれる物質が放出されます。
3. 体温中枢への刺激
サイトカインは、脳の深部にある「視床下部」という部分に働きかけ、体温を上げるように指令を出します。
4. 体温上昇
視床下部の指令を受け、体が熱を作り出し、体温が上昇します。
なぜ微熱が出るのか?
* 免疫反応の強化
微熱になると、免疫細胞の働きが活発になり、異物をより効果的に排除できるようになります。
* 病原体の増殖抑制
多くの病原体は、ある程度の温度でしか増殖できないため、体温を上げることで病原体の増殖を抑制します。
頻繁に微熱が出るが、検査で炎症反応が出ない場合に考えられる要因
頻繁に微熱が出るにも関わらず、検査で炎症反応が出ない場合、その原因は様々考えられます。以下に主な要因を挙げます。
1. 自律神経の乱れ
* ストレス: 日常生活でのストレスや精神的な負担が、体温調節中枢に影響を与え、微熱を引き起こすことがあります。
* 不規則な生活: 睡眠不足、不規則な食事、運動不足などが、自律神経のバランスを崩し、微熱の原因となることがあります。
2. 内分泌系の異常
* 甲状腺機能亢進症: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、基礎代謝が上がり、体温が上昇することがあります。
* 副腎皮質機能亢進症: 副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることで、様々な症状が起こり、その中に微熱が含まれることがあります。
3. 感染症
* 慢性的な感染: 歯周病、慢性副鼻腔炎など、慢性的な感染が原因で、低度の炎症が持続し、微熱が出る場合があります。
* ウイルス感染: 特定のウイルス感染症では、炎症反応が強く出ない場合もあります。
4. 腫瘍
* 血液のがん: 白血病やリンパ腫など、血液のがんでは、微熱が初期症状として現れることがあります。
* その他の腫瘍: 他の臓器のがんでも、微熱が出る場合があります。
5. 薬剤の副作用
* 特定の薬剤: 一部の薬剤は、副作用として微熱を引き起こすことがあります。
6. その他
* 機能性発熱: 特に原因が特定できない発熱で、ストレスや自律神経の乱れが大きく関与していると考えられています。
* まれな疾患: サルコイドーシス、ベーチェット病など、まれな疾患が原因の場合もあります。
検査で炎症反応が出ない理由
* 炎症反応が弱い: 慢性的な炎症や、特定の病気では、炎症反応が強く出ない場合があります。
* 検査のタイミング: 検査のタイミングによっては、炎症反応が検出されないことがあります。
* 検査項目: 検査項目が不十分な場合、原因となる疾患を見逃してしまう可能性があります。
微熱が続く場合の注意点
* 他の症状: 微熱以外にも、だるさ、倦怠感、食欲不振、体重減少などの症状が出ている場合は、より注意が必要です。
* 持病: 持病がある場合は、その病気との関連性も考えられます。
* 生活習慣: 不規則な生活、睡眠不足、栄養バランスの乱れなども、微熱の原因になることがあります。
いつ病院を受診すべきか
* 微熱が1週間以上続く場合
* 微熱と同時に、だるさ、体重減少、発汗、関節痛などの症状がある場合
* 高熱に変わった場合
* 原因不明の微熱が繰り返される場合
頻繁に起こる微熱は、様々な病気が原因として考えられます。自己判断せず、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
鍼灸を受ける患者様
病院は受診したものの原因がわからず、対症療法でお薬を処方されて終わることも多く、根本的な解決が難しい症状です。
他人からは微熱程度と理解されなかったり、お薬を飲み続けることに不安を感じたり、微熱の都度に感じる倦怠感など…
どうしていいのかわからず悩んでいる方は少なくありません。
鍼灸刺激が身体に起こす反応
* 神経系の活性化
鍼やお灸の刺激は、皮膚や筋肉の感覚受容体を刺激し、神経系を活性化させます。この刺激は、脳や脊髄に伝わり、自律神経系を含む様々な神経回路に影響を与えます。
* 血流の改善
鍼灸刺激は、局所的な血流を改善し、組織への酸素供給を促進します。また、末梢神経の血流を改善することで、神経伝達物質の分泌を促進し、神経機能を改善する効果も期待できます。
* 内分泌系の調節
鍼灸刺激は、脳内の内分泌系を刺激し、ホルモン分泌に影響を与える可能性があります。例えば、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらすセロトニンの分泌を促進するなど、ホルモンバランスの調整に役立つと考えられています。
自律神経への影響
鍼灸刺激は、これらの反応を通じて、自律神経のバランスを調整すると考えられています。
* 交感神経と副交感神経のバランス
自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスによって、身体の恒常性を維持しています。鍼灸治療は、このバランスを調整し、過度に興奮している交感神経を鎮め、副交感神経を活性化することで、リラックス効果をもたらすと考えられています。
* 脳への影響
鍼灸刺激は、脳の様々な部位に影響を与え、神経伝達物質の分泌を変化させます。例えば、痛みの抑制に関わるエンドルフィンや、気分を高めるセロトニンの分泌を促進することで、疼痛の緩和や気分の改善に繋がると考えられています。
鍼灸治療の効果
鍼灸治療は、自律神経のバランスを整えることで、様々な身体の不調に効果を発揮すると考えられています。
* ストレスの軽減
ストレスによって乱れた自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減します。
* 睡眠の改善
不眠や睡眠障害の改善に効果が期待できます。
* 痛みの緩和
慢性的な痛みや筋肉の緊張を緩和します。
* 消化器系の改善
消化不良や便秘などの消化器系の症状の改善に効果が期待できます。
* 免疫力の向上
免疫機能を活性化し、病気に対する抵抗力を高めます。
まとめ
鍼灸治療が自律神経に作用するメカニズムは、まだ完全に解明されていませんが、神経系、血流、内分泌系などに多角的に作用し、自律神経のバランスを調整することで、様々な身体の不調を改善すると考えられています。