突発性難聴とは?
突発性難聴とは、突然片側の耳に感音性の難聴を起こす病気です。最近ではテレビで活躍するタレントや歌手が発病して話題になりこの病気を知ったという人は多いのではないでしょうか。
突発性難聴の大きな特徴は、『何も前触れもなく、突然片側の耳が聞こえにくくなる』です。
難聴が起きる前後に副症状として耳鳴り、くらくらするめまい、吐き気、嘔吐が起きる場合もあります。
耳鳴りは、『ジー』とセミが鳴くような音が聞こえることが多く、めまいは自分の身体がフワフワ浮いているような感覚がおきます。副症状は必ず起きるわけでもなく、副症状が出なくても難聴が起こる場合もあります。
他にも、耳が詰まる様な感じがしたり、耳の圧迫感や自分の声が頭にこもる様な症状も起きます。
また、突発性難聴は一度発症したら、何度も繰り返し発症することが無いのも特徴の1つです。以前は40代から50代の女性に多く見られましたが、最近では年齢において偏差が無く、男性でも増加傾向になってきました。
音が伝わるメカニズム
人や動物は音を耳で捉え聴くことが出来ます。では、どのようにして音を感じ取っているのでしょう。
まず音は耳の穴の一番外側、「外耳」から耳の奥の方に入っていきます。言わば、音を集めてキャッチするアンテナみたいな所です。外耳を通過するとその次の「中耳」に入っていきます。そこすには、「鼓膜」「耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)」があります。
鼓膜は外耳道と中耳の間にある半透明の白色をした薄い膜で、音を振動してその奥にある耳小骨に伝えます。テコの原理を使い、ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨の順番で奥の内耳に音を伝えていきます。また中耳には「耳管」というトンネルがあり、
難聴の種類
難聴には伝音性難聴と感音性難聴があります。耳は外耳、中耳、内耳と3つのエリアに分かれています。まず音が耳に入ると一番外側の外耳を通過し中耳にある耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)に振動が伝わり、この振動が内耳の蝸牛にある有毛細胞に伝わり、この有毛細胞から電気信号に変わって神経を伝い脳で音として処理されるのです。
伝音性難聴
伝音性難聴は外耳と中耳に何らかの障害が起きると、音の振動がうまく内耳まで伝わらず難聴が起きます。伝音性難聴になった場合は、うまく言葉を理解できない、言葉を捉えられないといったことはなく、ただ音が聞こえづらくなるのみです。
伝音性難聴が伴う症状は、中耳炎や鼓膜の損傷、耳垢のつまりがあります。伝音性難聴は比較的治癒しやすく、症状も軽いと言われています。
感音性難聴
感音性難聴は耳の一番奥にある内耳に何らかの障害が起きると、音を脳に伝えることが出来ず難聴を起こします。感音性難聴は伝音性難聴と違い、ただ音が聞こえにくくなるだけではなく、言葉もはっきりと捉えにくくなり、時には言葉を理解しづらくなってしまいます。
感音性難聴が伴う疾患は、突発性難聴やメニエール病、低温障害型感音難聴などがあります。
突発性難聴の原因
現在、突発性難聴の明確な原因が分かっていません。しかし、一般的の風邪の原因でもあるライノウイルス、コロナウイルスなどや、おたふく風邪の原因でもあるムンプスウイルス、ヘルペスウィルスなどといった『ウイルス感染』が原因とされる説や、強いストレスを受けることによって突発性難聴の症状が現れやすいという事から、『自律神経の乱れ』が大きく関わっている可能性があります。
強いストレスを受ける
↓
自律神経が乱れる
↓
血液循環が悪くなる
↓
耳に血液が行き渡らなくなり、栄養不足に陥る
↓
耳の機能が低下して難聴を引き起こす
というように、自律神経の乱れが起きることにより全身の血液循環が悪くなり、とくに耳や鼻、目などの感覚器系はもともと血液が通りにくい場所でもあるため、より血流量が乏しくなって栄養不足になり機能が低下してしまいます。
このように内耳の蝸牛にある有毛細胞が栄養不足やウイルス感染により破壊されてしまい難聴や耳鳴り、めまいなどを起こしてしまうのです。
突発性難聴の西洋医学的治療
突発性難聴の治療は基本的にステロイドホルモン薬(副腎皮質ホルモン薬)による投薬治療か点滴がメインになっていきます。他にはビタミン薬や毛血管拡張薬、利尿薬などを組み合わせて処方されることがあります。
これらの治療で効果が現れない場合は、神経ブロック治療か高圧酸素療法を行います。
突発性難聴の東洋医学的考え
耳は東洋医学的観点から考えると、「腎」と深い関わりがあります。
東洋医学の「腎」は西洋医学的な一般的の「腎臓」とは働きが違い、生長・発育・生殖・水液代謝を主り、特に「腎の精気」は聴力との関わりが深く、腎の精気が十分ならば聴覚は正常に働き、少なければ聴覚は減退していきます。腎の精気は年齢を重ねれば重ねるほど減少していき、高齢者になると聴力は低下していく傾向があります。
また、「腎」と「肝」は東洋医学的にとても深い関わりがあり、腎の機能が低下すると肝がそれを補おうとします。それが長く続くと肝の機能も低下し始め、肝の機能低下は血液循環の低下の原因となり、内耳に悪影響を及ぼしてしまいます。
突発性難聴に対する三軒茶屋α鍼灸院の治療
まず、突発性難聴はストレスによる自律神経の乱れが原因の一つでもあるため、問診と自律神経測定器で詳しくお身体の状態を調べていきます。
交感神経と副交感神経の活動を高め、双方が正しく働くように自律神経のバランスを整えていきます。自律神経が正しく活動することにより、血管の動きが正常に機能し全身に血液が回るようになり、さらに自律神経治療はリラックス効果も期待できるので、心身に蓄積したストレスも減らすことが出来ます。
その次に耳周りにあるツボに鍼を打ち、内耳への血液量を高め有毛細胞の修復を図ります。
また、首肩回りの筋肉の緊張は、心臓から耳周りに送られる栄養豊富な血液循環の阻害にもつながるので首、肩周りの筋肉、頭の筋肉の緊張を緩めていきます。
さらに「腎」と「肝」のツボを組み合わせて、東洋医学の観点からも治療を行っていきます。
突発性難聴の3つのポイント
1 突発性難聴は一度治癒したら同じ耳では再発しません。
もし症状が一度改善されたにもかかわらず突然難聴を繰り返すようであれば、「メニエール病」「リンパの障害」「急性低音障害型感音難聴」を疑った方がいいでしょう。
2 突発性難聴は発症してからが勝負です。
内耳の有毛細胞は敏感で壊れやすく、完全に細胞が機能しなくなったら再修復できないのです。
しかし症状が出てから48時間以内、遅くても2週間以内に治療を開始すれば有毛細胞が修復が可能であり、突発性難聴も回復しやすいです。
3 聴神経腫瘍に注意!!
突然聴力が低下するのは突発性難聴だけではありません。聴神経に腫瘍ができた時でも突然の難聴を引き起こす事があります。聴神経腫瘍は良性腫瘍ですが、ゆっくりと大きくなる事がほとんどで、聴神経の周りある膜から大きくなるため、聴神経を圧迫してしまい難聴や急なめまいを引き起こしてしまいます。腫瘍はゆっくりと大きくなるため初期段階では本人は気が付きにくく、電話などの声に聞こえにくさを感じてようやく症状に気が付くことが多いです。聴神経の他にも顔面神経の圧迫を起こす場合もあり、顔のしびれや顔面神経麻痺、物が飲み込みづらい嚥下障害なども起きる場合があります。聴神経腫瘍は、自然と小さくなることもありますが、酷くなると脳幹を圧迫して重篤になり危険な状態となってしまいますので、難聴やめまいが起きたら早めに医療機関で調べてもらう必要があります。
突発性難聴の方は、耳鼻科疾患専門治療院の三軒茶屋α鍼灸院にお早めにご相談下さい。