食いしばりとは
食いしばりは、無意識のうちに歯を強く噛み締める習慣のことです。
この習慣が長期化すると、顎関節症を引き起こし、様々な症状が現れることがあります。
その一つが、耳鳴りや耳閉感です。
なぜ食いしばりは耳鳴りや耳閉感を引き起こすのか?
食いしばりによって、顎関節や周辺の筋肉に過度の負担がかかります。その結果、以下のメカニズムで耳鳴りや耳閉感が生じると考えられています。
* 顎関節の炎症
食いしばりによる顎関節の炎症が、耳管(中耳と鼻咽頭を繋ぐ管)の機能を阻害し、中耳腔の圧力バランスを崩すことがあります。これが、耳閉感や聴力低下につながることがあります。
* 筋肉の緊張
顎の筋肉だけでなく、首や肩の筋肉も緊張し、血行不良を引き起こします。その結果、内耳の機能に影響を与え、耳鳴りやめまいなどの症状が現れることがあります。
* 神経の圧迫
長期的な食いしばりは、神経を圧迫し、顔面神経や三叉神経の機能に異常をきたす可能性があります。これにより、耳鳴りや顔面の痺れなどの症状が現れることがあります。
食いしばりによる耳鳴りや耳閉感の症状
* 耳鳴り: キーン、ザーザーなど、様々な種類の音が聞こえます。
* 耳閉感: 耳が詰まったような、ふさがったような感じがします。
* 聴力低下: 音が聞き取りにくくなります。
* 顎の痛み: 顎関節や筋肉が痛みます。
* 頭痛: 頭が重く感じたり、痛みが伴うことがあります。
* めまい: めまいがする、ふらつくことがあります。
耳と顎の位置
顎関節と耳は非常に近い位置にあり、互いに影響を与え合います。
食いしばりが顎関節に与える負担が、耳の不調に繋がることが分かります。
食いしばりによる耳鳴りや耳閉感の対処法
* リラックス方法
ストレッチなどリラックスできる方法を取り入れることで、筋肉の緊張を解きほぐすことができます。
* 生活習慣の見直し
ストレスを溜め込まない、バランスの取れた食事をする、十分な睡眠をとるなど、生活習慣を見直すことも重要です。
* 食いしばりに気づく
食いしばりは無意識に行っているため気がついた時に顎の力を抜くことで食いしばる時間を少しでも減らす事が重要です。
* マウスピースの装着
夜間無意識に食いしばってしまう場合は、マウスピースを装着することで、歯への負担を軽減できます。
鍼灸でのアプローチ
食いしばりは、耳鳴りや耳閉感だけでなく、様々な身体の不調を引き起こす可能性があります。
特別なことはしていないのに顎が疲れている、顎が痛いなど思い当たる場合は注意が必要です。
鍼灸の刺激は、過剰に収縮しようとする筋肉への伝達を落ち着かせることで、噛み締める筋肉を緩める効果があります。
また、全身治療を行うことでリラックス効果があり、血液やリンパ液の循環が改善され、内耳の環境改善にもつながります。
お悩みの方はお気軽にご相談ください。
症例
症状1
67歳女性
以前から左耳が水に潜った時の様な詰まり感があり、聞こえにくくなることがある
なるべくステロイドは使用したくないため、漢方薬を服用し、月に2回びわの葉灸を受けているがここ1年は耳の詰まりが頻発している
慢性的に首肩こりがあり、最近は原因不明の微熱が起こり、発熱すると倦怠感で活動に支障がでる
治療(週に1回)
1回目
首肩は皮膚表面から深部まで張った感じであったため、全身の緊張を取り、循環改善を目的に施術を行った
経過
2回目(1週間後)
治療5日後に耳の違和感があったが、その日以外は特に感じなかった
7.2°の微熱があった
4回目
耳の違和感は時々あるが、長く続くことは無くなった
日により微熱は起こる
5回目
耳の症状はほとんどなくなった
1日おきだった微熱が2日おきくらいになった
9回目
耳の違和感は時々感じるが気にならない程度で安定している
微熱は週に1回程度あるが、気候や忙しさが関係している様子
8回目からは鼻周りの施術も追加
頬が緩んだことで表情が明るくなり、目的を体調維持と美容に変え治療を継続している