耳管開放症とは
高い所やトンネルに入った時などに耳がポワーっとなる感覚が起こり、それが問題なく解消されるのは耳の奥にある「耳管」と呼ばれる部分が正常に機能しているおかげです。
通常、耳管は開閉がスムーズに行われることで大気圧と内耳の気圧を調整し、鼓膜が正常に働くようにしています。しかし耳管開放症はこの開閉がうまくいかなくなってしまう病気です。
主な症状は耳閉感、自声強調、頭の位置(頭位)によって症状の変化が起こるといった症状がみられます。
耳閉感:飛行機やトンネルなどの気圧の変化がある時に耳が塞がったような感覚が消えなくなり常に閉塞感が続いてしまう状態です。唾を飲み込んだりあくびをしても解消されません。
自声強調:読んで字のごとく自分の声が耳管と通して耳の中に響いてしまう状態です。自分の声に邪魔をされて周囲の声や音が聞き取りにくくなることもあります。
頭位によって病状に変化がある:頭を傾けたり横になって休むなど頭の位置や姿勢によって症状が軽減される、もしくは全く出なくなるなどの特徴がみられます。
耳管開放症の原因
耳管開放症のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、風邪や副鼻腔炎、過度なダイエット・体調不良による急激な体重の減少、高負荷な過労・ストレスが関係しているという説が有力です。また妊婦の約17%が耳管開放症になるというデータもあります。
耳の奥には耳管という中耳と喉(咽頭)を繋ぐ器官があり、耳管が開閉することで中耳にある鼓室と大気圧の調整を行っています。
この耳管の開閉の調節がうまくいかなくなってしまい、開きっぱなしになることで耳管を通して声が直接耳に聞こえ自声強調の症状が表れます。
こういった耳管開放症による症状自体がストレスとなり不眠やうつ、不安神経症といった精神的な疾患が併発してしまうことも少なくありません。
病院やクリニックでの考え方
根本的な治療方法はまだ発見されていません。多くはストレスや疲労を溜めないような生活習慣の指導や精神安定剤を処方されたりするのが一般的です。
重度の場合には注射や手術などで耳管を塞ぐ方法も試されているようです。
東洋医学からみた耳管開放症
耳管開放症など耳の疾患は東洋医学で言われる「腎」と「肝」の働きが関係しています。
特に「腎」と耳は深い関わりがあり、「腎」には先天の精といって生まれもった生命力が宿っていて先天の精が消耗されることで老化していくという風に東洋医学では考えます。
なので「腎」の気が過度に消耗されることで耳や足腰、骨が弱くなるという症状が表れやすくなります。
「肝」は全身の臓器の活動が円滑に進むように指令をだす働きをしています。
なので「肝」が弱ることで身体のあちこちに様々な症状が表れます。
特に肝はストレスや筋肉の使い過ぎに弱く、睡眠障害や不安感などの症状を併発しやすい傾向にあります。こういった肝の調節機能が失われることで耳に異常が起こります。
こういった「腎」や「肝」の気を整えることによって元気を取り戻し全身の調節機能が回復することで自然と耳管開放症の症状も改善されていきます。
耳管開放症に対する三軒茶屋α鍼灸院の施術
1:まずは問診で何が原因で耳管開放症を起こしているかを詳しくお伺いいたします。
多くの場合はストレスや過労、ホルモンバランスの乱れといった直接目には見えないものが原因で耳管開放症になっていることがあります。
そういった原因を突き止めるために問診を行います。
2:次に自律神経測定器を使い自律神経のバランス、ストレス点数、疲労度などを調べます。このデータをもとに治療方針を組み立てていきます。
3:測定器のデータに加えてお身体の状態を直接診させていただいて先述の「腎」や「肝」などの状態を調べて東洋医学的な側面からのアプローチもかけていきます。
4:耳の症状だけではなく、肩こりや腰痛、自律神経症状などの治療も同時に行い身体全体の回復力を高めていきます。
5:最後に耳の周囲のツボを使い耳に直接働きかけて症状の改善を促します。
三軒茶屋α鍼灸院の治療では耳の治療だけではなく全身の調整を行うので体質改善としての効果もあります。体質が改善されることで耳管開放症以外の身体の調子も良くなっていきます。
また必要に応じて生活習慣などに改善点があればライフスタイルに合わせて症状が緩和されやすくなるようにアドバイスもさせて頂きます。
症例
20代男性
高校生の頃、部活動が厳しく体力的にも精神的にも追い込まれた状況になり耳管開放症が発症した。当時も鍼灸院に通い改善がみられたが就職をして仕事のストレスにより再発。
残業も多く肉体的な疲労も強い。
三軒茶屋α鍼灸院の治療
まずは自律神経よりも肉体的な疲労がかなり溜まっていて首や肩、背中の緊張が強かったのでまずは肉体的な疲労を軽減させてから自律神経の調節、耳の施術を行った。
治療経過
1回目
鍼には慣れている方だったのである程度刺激を入れて症状の改善に注力した。
症状の改善率は20%ほど。
2回目
前回の施術を踏まえ、首周りに加えて顎周囲の緊張もあったのでそちらにもパルスをかけて施術を行った。
症状の改善率は前回と変わらず。
3回目
顎の施術を加えてから少し改善がみられた。
仕事が相変わらず忙しく首肩のコリがまた出てきてしまった。
施術は前回と同じように行った。
症状の改善率は50%
4回目
症状は70%程度まで改善がみられた。
日によっては耳管開放症が気にならない日もある。
肩や首のコリもあまり気にならなくなってきた。
今後は体調をみて週に1回もしくは二週に1回のペースで治療を行っていくため現在も通院中。