頸椎症とは

頸椎症（けいついしょう）は、首の骨（頸椎）にある椎間板や靭帯が加齢によって変性し、神経や脊髄を圧迫することで起こる病気です。

症状

頸椎症の症状は、神経や脊髄の圧迫部位や程度によって異なりますが、主に以下のものが挙げられます。

○首の痛み：最も多く見られる症状で、後頭部や肩にかけての痛みやこりが特徴です。

○肩こり：首の痛みと同様に多く見られる症状で、慢性化することも多いです。

○頭痛：後頭部や側頭部の痛みが多いですが、前頭部や眼窩部などにも痛みが出ることもあります。

○めまい：回転性や立ちくらみなど、さまざまな種類のめまいが起こります。

○しびれ：主に、首、肩、腕、手にしびれが出ます。

○手の脱力：指先がうまく動かせなくなったり、物を握りにくくなったりすることがあります。

○歩行障害：進行すると、歩行時にふらついたり、転倒しやすくなったりすることがあります。


以下は、頸椎症の症状の重症度を示す指標です。

軽度：首の痛みや肩こりなどの軽度の症状のみ
中等度：頭痛、めまい、しびれなどの症状がある
重度：手の脱力、歩行障害などの症状がある



頸椎症の症状は、時間とともに悪化することがあります。症状がひどい場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

原因

頸椎症は、主に以下の原因によって起こります。

1. 加齢
頸椎症は、加齢によって起こる病気です。年齢とともに、椎間板や靭帯が変性し、弾力性や柔軟性が失われていきます。また、骨も骨粗鬆症などによって弱くなり、変形しやすくなります。これらの変化によって、神経や脊髄を圧迫しやすくなり、頸椎症の症状が現れます。

2. 姿勢不良
猫背などの姿勢不良は、頸椎に負担をかけ、変性を早めます。長時間のパソコン作業やスマホの使用、デスクワークなどは、猫背になりやすく、頸椎症のリスクを高めます。

3. 外傷
むち打ちなどの外傷は、頸椎の損傷を引き起こし、頸椎症の原因となることがあります。特に、首を強くひねるような外傷は、椎間板や靭帯を傷つけやすく、頸椎症の発症リスクを高めます。

4. 肥満
肥満は、頸椎に負担をかけるだけでなく、血行を悪化させ、症状を悪化させることがあります。特に、首の後ろに脂肪が蓄積すると、頸椎への負担が大きくなり、頸椎症のリスクが高まります。

5. その他
遺伝的な要因や、ストレス、喫煙なども、頸椎症のリスクを高める因子と考えられています。

頸椎症は、これらの原因が複合的に作用することで起こる病気です。

頸椎症の西洋医学的な治療

頸椎症の西洋医学的な治療法は、大きく以下の3つに分類されます。


1. 保存療法
保存療法は、薬や物理療法などによって症状を緩和する治療法です。

薬物療法：痛み止めや炎症を抑える薬、筋肉をリラックスさせる薬などが用いられます。
物理療法：温熱療法、電気療法、牽引療法、マッサージ療法などが行われます。
装具療法：首の動きを制限する装具を装着することで、頸椎への負担を軽減します。


2. 神経ブロック
神経ブロックは、神経の周りに局所麻酔薬を注射することで、痛みを緩和する治療法です。


3. 手術療法
保存療法で改善が見られない場合や、症状が重度の場合は、手術療法が検討されます。手術療法には、以下の種類があります。

椎間板切除術：圧迫している椎間板を切除する手術です。
椎体固定術：隣り合う椎骨を固定することで、頸椎の安定性を高める手術です。
人工椎間板置換術：傷ついた椎間板を人工椎間板に置き換える手術です。


治療法の選択は、症状の程度、年齢、全身状態などを考慮して、医師が行います。

頸椎症に対する鍼灸施術

鍼灸は、頸椎症の症状を改善するのに効果的な治療法の一つとして近年注目されています。


鍼灸治療のメカニズム
鍼灸治療は、以下のメカニズムによって頸椎症の症状を改善すると考えられています。

血行促進

ツボを刺激することで、血行を促進し、筋肉のコリや痛みを緩和します。

鎮痛効果

ツボを刺激することで、脳内にエンドルフィンなどの鎮痛物質を放出させ、痛みを緩和します。

筋弛緩効果

ツボを刺激することで、筋肉をリラックスさせ、コリを緩和します。

自立神経調整効果

ツボを刺激することで、自律神経のバランスを整え、症状を改善します。