双極性障害とは
双極性障害 は、気分の異常な高揚と落ち込みを経験する精神疾患です。これらの気分のむらを「気分エピソード」と呼びます。
双極性障害の種類
・双極性 I 障害:躁状態を経験する。
・双極性 II 障害:軽躁状態と うつ状態を経験する。
・その他のタイプの双極性障害: 循環性障害、薬物/物質誘発性双極性障害、双極性障害による精神病など。
症状
躁状態
異常なほど高揚したり、興奮したり、イライラしたりする期間。
○エネルギーの増加
○眠気の減少
○考えのレース
○膨張した自己評価
○衝動的な行動
○無謀な判断
うつ状態
悲しみ、絶望感、無気力などの症状が現れる期間。
○エネルギーの減少
○睡眠障害
○集中力困難
○食欲の変化
○自殺念慮
原因
双極性障害の原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。
【主な要因】
◯遺伝:双極性障害は、家族歴がある人により発生する可能性が高くなります。双極性障害の患者さんの一卵性双生児が双極性障害を発症する確率は約40~50%です。
○脳機能:双極性障害患者さんの脳は、健常者とは異なる機能を示すことが研究で分かっています。例えば、気分の調節に関与する神経伝達物質のバランスが崩れている可能性があります。
○環境:ストレスの多い出来事や重大なライフイベントは、双極性障害の発症や再発を誘発する可能性があります。
【その他】
○出生時や胎児期の異常
○特定の薬物
○自己免疫疾患
双極性障害の原因は複雑であり、複数の要因が絡み合っていると考えられます。
双極性障害の西洋医学的な治療法
西洋医学的な治療法 は、主に以下の3つからなります。
薬物療法
○気分安定薬:躁状態と うつ状態の両方の症状を予防し、安定させる効果があります。
○抗うつ薬:うつ状態の症状を改善する効果があります。ただし、単独で使用する場合は、躁状態を誘発する可能性があるため、注意が必要です。
○抗精神病薬: 躁状態の症状を抑制する効果があります。また、統合失調症の症状を伴う双極性障害にも有効です。
心理療法
○認知行動療法 (CBT):思考や行動パターンを修正することで、気分の症状を改善する効果があります。
○対人関係療法 (IPT):対人関係のスキルを向上させることで、人間関係によるストレスを軽減し、症状を改善する効果があります。
その他
○電気けいれん療法 (ECT): 薬物療法で効果が得られない場合や、重症な症状がある場合に用いられる治療法です。
○光療法:朝晩の光を浴びることで、体内時計を整え、気分の症状を改善する効果があります。
双極性障害に対する鍼灸施術
双極性障害は、気分の異常な高揚と落ち込みを繰り返す精神疾患です。東洋医学では、双極性障害は「陰陽失調」と捉えられ、鍼灸施術は陰陽のバランスを整え、気血の流れを改善することで、症状を緩和するのに役立つと考えられています。
双極性障害に対する鍼灸の効果
双極性障害に対する鍼灸の効果は、まだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの研究結果から、以下のような効果が期待できると考えられています。
【症状の緩和】
躁状態:興奮、易怒性、不眠などの症状を緩和する
うつ状態:気分の落ち込み、無気力、疲労などの症状を緩和する
【再発防止】
気分の波を安定させ、再発を予防する
【生活の質の向上】
睡眠の質を改善する
ストレスを軽減する
社会的な活動への参加を促進する
【西洋医学との併用】
西洋医学の治療と併用することで、副作用を軽減する