痙性斜頸とは
痙性斜頸は、首の筋肉の不随意な収縮を引き起こす神経障害です。
この収縮により、頭は通常の位置から横に傾いたり、ねじれたり、前に倒れたりすることがあります。
痙性斜頸は、最も一般的な局所性ジストニアの一種です。
原因
痙性斜頸の原因は完全にはわかっていませんが、遺伝的要因と環境要因の両方が関与していると考えられています。
遺伝的要因
痙性斜頸の家族歴がある人は、そうでない人に比べて発症するリスクが高いことが知られています。このことから、痙性斜頸には遺伝的要因が関与していることが示唆されています。
環境要因
痙性斜頸の原因として考えられている環境要因としては、以下のようなものが挙げられます。
◯脳損傷や脳腫瘍などの脳疾患
◯頭部外傷
◯産科的合併症
◯ストレス
◯過度の疲労
◯長時間の不自然な姿勢
◯薬の副作用(ドパミン遮断薬など)
これらの要因が、脳の神経伝達物質のバランスを崩したり、筋肉の収縮を調節する神経経路に障害を与えたりして、痙性斜頸を引き起こすと考えられています。
痙性斜頸の種類
原発性斜頸
原因が不明な痙性斜頸です。最も一般的な種類で、約90%を占めます。
続発性痙性斜頸
脳疾患や頭部外傷などの既存の疾患に続発して発症する痙性斜頸です。
薬物誘発性痙性斜頸
ドパミン遮断薬などの薬の副作用として発症する痙性斜頸です。
症状
痙性斜頸の症状は、以下のようなものが挙げられます。
◯頭が横に傾く(回旋)
◯頭が前に倒れる(前屈)
◯頭が後ろに倒れる(後屈)
◯頭がねじれる(側屈)
◯肩が上がる
◯下あごが突き出る
これらの症状は、片側性に生じることが多いですが、両側性に生じることもあります。また、症状は徐々に進行することが多く、発症後3~5年間は進行する傾向があります。
痙性斜頸の症状は、日常生活に支障をきたすことがあります。例えば、頭が傾いたり、ねじれたりしていると、視線をまっすぐ向けたり、歩いたり、物をつかんだりすることが難しくなります。また、肩や首の痛みや疲労感、頭痛などの症状を伴うこともあります。
痙性斜頸に対する鍼灸の効果
◯筋肉の緊張を緩和する
◯自律神経のバランスを整える
筋肉の緊張が緩和されると、首の筋肉の収縮が抑えられ、頭の位置が改善されます。
また、自律神経のバランスが整うと筋肉の収縮を調節する神経系の働きが正常化され、症状の改善につながります。
治療の有効性
鍼灸による痙性斜頸の治療の有効性は、多くの研究で示されています。ある研究では、鍼灸治療を受けた患者の70%以上で、頭の位置の改善や症状の軽減が認められました。また、別の研究では、鍼灸治療を受けた患者の80%以上で、肩や首の痛みなどの症状が改善されました。
ただし、鍼灸による痙性斜頸の治療は、症状の程度や重症度によって、効果に差が生じることがあります。また、鍼灸治療は、あくまでも対症療法であり、根本的な治療法ではありません。