不定愁訴とは

器質的な疾患がないにも関わらず、様々な身体疾患（全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸、食欲不振、下痢など）訴える症状を指します。主に自律神経症状を表すことが多いが、更年期やアトピー性皮膚炎など身体的疾患についても扱われることがあります。身体的や精神的両方から原因を見ていく必要があります。

不定愁訴の成因

不定愁訴の成因ライフスタイルや精神的ストレス、性格、職場、基礎疾患などが様々なものに絡み合ってできています。例に挙げると、更年期障害などは様々なストレスが中枢神経系、自律神経系、内分泌系、免疫系などの生態調節系に影響し、身体や精神、行動に症状があらわれていきます。
不定愁訴は、そうした症状の一部として捉えられる。また、慢性疾患に伴う病苦が心理的要因になり基礎疾患に関連した症状に不定愁訴が重なる場合もあります。

不定愁訴の症状

不定愁訴の症状は、全身倦怠感やめまい、頭痛、頭重感、動悸、胸部圧迫感などの身体的愁訴が中心です
。身体的愁訴が中心であり、自律神経機能に関係した自律神経症状が中心です。しかし、自律神経機能に異常がある場合とない場合があります。
愁訴の特徴
①人によって現れる症状が異なる
②複数の症状が同時に現れ、これらの症状には関連がない
③症状は不安定で消長しやすく、質的・量的に変化しやすい
④訴えは主観的で他覚的・客観的所見に乏しい
⑤訴えは強く多彩である

・全身的症状
全身倦怠感、易疲労感。ふらつき感、めまい感
・神経筋骨格系
頭痛、頭重感、肩こり、腰背中痛、しびれ感、振戦
・循環器系
のぼせ、動悸、胸痛、苦悶痛、四肢冷感・熱感
・呼吸器系
呼吸促進、息切れ、息苦しさ、咳
・消化器系
食欲不振、口渇、悪心・嘔吐、腹痛、胃部不快感、腹部膨満感、便秘・下痢
・眼・耳鼻科系
眼精疲労、耳鳴り、喉頭閉塞・異物感
・皮膚科系
発汗、寝汗、痒み、乾燥
・泌尿生殖器系
頻尿、排尿困難、勃起障害、月経障害
・精神症状
睡眠障害、不安、緊張、焦燥、抑うつ、心気、集中力低下、意欲低下、記名力低下

不定愁訴に対する鍼灸アプローチ

治療対象

身体疾患や内因性精神疾患に伴う不定愁訴は、現代医学的治療が優先とされています。鍼灸治療は現代医学的治療に併用して症状の軽減を目的に行う。心因性精神障害を含む広義の自律神経失調症の鍼灸治療の適否は「社会や家庭生活の中で、本人が感じる、または周囲の人がみて普通の生活を行なえている場合」は単独でも治療が可能である。