統合失調症とは
統合失調症とは、自分の思考や行動をうまくまとめること(統合)ができない状態が長期間続く病気です。10代後半から40代くらいの約100人に1人が罹患しているとされる、精神疾患の一つです。幻覚や幻聴、妄想や、意欲の低下などの症状により、学校や仕事などの社会生活や日常生活が非常に難しくなります。
また、うつ病や双極性障害、その他の精神疾患や発達障害との区別がつきにくいため早期の受診による症状の見極めが大切です。適切な薬物治療や心理療法を受けることにより、症状をコントロールすることが可能な病気です。早めの受診を心掛けましょう。
ご家族や周囲の方々のサポートが特に大切になります。
統合失調症の原因
統合失調症の明確な原因はいまだに解明されていませんが、主に脳の中の、神経伝達物質のバランスが崩れて異常を起こしていることが原因とされています。神経伝達物質のバランスが崩れるきっかけは、遺伝的要因や環境的要因が考えられます。
⚫︎遺伝的要因
→統合失調症の患者から生まれた子供の発症率は、そうでない子供の約10倍という研究結果がでています。その他にも、生まれつきストレス耐性が低かったり、生まれ持った性格によって発症するきっかけを作ります。
⚫︎環境的要因
→日々の生活で大きなストレスを感じている方、生活環境が大きく変化した方、身近な人の死を体験した方など、自分をとりまく環境によって発症するきっかけを作ります。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は、主に「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」に分けられます。
陽性症状
統合失調症の陽性症状は、幻覚や幻聴があり、現実と非現実との境目がぼやけ、妄想が加速します。妄想により、何者かに狙われていると感じるなど、患者自身はとても怖い思いをしています。また思考障害により、思考や発言に一貫性がなく、コミュニケーションに影響を及ぼします。些細なことで興奮しやすいという特徴もあります。
陰性症状
統合失調症の陰性症状とは、意欲の低下、感情の平板化、抑うつ症状などがあり、無気力でやる気が出ず、倦怠感が増します。それにより引きこもりになり、社会生活が困難になります。
認知機能障害
統合失調症の認知機能障害は、集中力の欠如や記憶力の低下、物事を整理し、計画する能力や、問題を解決する能力が著しく低下します。空気を読むことや、相手の感情や会話の内容を理解しにくいため、社会生活における対人関係に支障をきたします。
統合失調症の検査
統合失調症の検査方法の一つに、「光トポグラフィー検査」という脳の血流を検査する方法があります。頭部に専用の装置を装着して、微弱な近赤外線を用いて、脳の活動状態をグラフ化することができます。安全性が非常に高く、痛みもありません。脳の状態を可視化することにより、その他の似ている精神疾患と区別することができるので、最善の治療法を見つけることができます。
健常者、うつ病患者、双極性障害患者、統合失調症患者それぞれの血流量のグラフのパターンがそれぞれあるため、より正確に診断しやすくなります。
その他にも、身体的な疾患がないかどうかの検査も行います。主に血液検査やCTやMRIなどの画像検査、脳を詳しく調べる検査を行う場合があります。また、知能検査や発達検査、心理検査などの結果も診断材料に用いられます。
統合失調症の治療法
薬物治療
統合失調症の主な処方薬は「抗精神病薬」です。脳内の神経伝達物質であるドーパミンを抑制させる薬です。ドーパミンを抑制することにより、陽性症状、陰性症状、認知機能障害すべての症状の改善に効果があります。抗精神病薬の他に補助的な薬として以下の種類があります。
⚫︎抗パーキンソン病
→体がこわばる症状を軽減する薬。
⚫︎抗不安薬
→不安感や緊張感を軽減する薬。
⚫︎抗うつ薬
→うつ状態を改善する薬。
⚫︎睡眠薬
→眠りにつきやすくなる薬。
心理社会的療法
⚫︎心理教育
→患者自身はもちもん、そのご家族や身近な方に向けた教育です。病気に対しての知識や、治療法、症状への対処の仕方、福祉サービスについての理解を深めることにより、前向きに捉えることができます。
⚫︎作業療法
→日常生活や社会生活を送りやすくするため、また治療後スムーズに元の生活に戻るために行うリハビリです。様々な作業(軽作業、スポーツ、料理、レクリエーションなど)を通じて、就労に必要な技術を学んだり、一緒に行うグループの中でコミュニケーション力をトレーニングすることができます。趣味を見つけ、人生の楽しみや生きがいに出会えることもあります。
⚫︎生活技能訓練
→生活をしていく上で必要な自己管理能力やより良い対人関係を気づくための力を身につけるための訓練です。
統合失調症と鍼灸の力
統合失調症でお悩みの方は、ぜひ病院での治療と並行して鍼灸をお試しください。
鍼灸には心を落ち着かせ、ストレスを和らげる効果が期待できます。統合失調症の発症の原因には大きくストレスが関係しているため、ストレス値を下げることは非常に大切です。
当院では『自律神経測定器』を用いて、自分がどのくらいのストレスを受けているかを身体的、精神的に把握することができるので、自分では気づきにくい心身の状態が目でわかります。
また、頭部には感情をコントロールするためのツボがたくさんあります。鍼で頭部を刺激することにより、脳への血流量が増え、感情をコントロールする力の向上や精神的な緊張が和らぎます。それにより睡眠の質があがり、免疫力も向上します。鍼灸は、統合失調症の症状軽減にはもちろん、再発防止にも大きな役割を果たすのです。