顔面神経麻痺とは
顔面神経は脳から顔に向かって伸びる神経で、主に顔の表情筋の運動が大きな役割です。
顔面神経麻痺とは、何らかの原因でその顔面神経が麻痺し、片側の顔が動かしにくくなる病気です。
また、顔面神経からは涙腺や唾液腺、味覚などにも関係する神経の枝が出ているので、それらの症状も発症することがあります。
原因は大きく分けて、脳に原因がある「中枢性」と、脳の外に原因がある「末梢性」がありますが、全体の90%以上は「末梢性」です。
顔の筋肉が動きづらくなる病気なので、顔が曲がってきた、眼が閉じにくい、水が口からこぼれる、口の動きが悪くなるなどの症状として自覚される事が多いです。
原因と症状
「末梢生」の顔面神経麻痺はウイルス性が多いです。
顔面神経麻痺は、ウィルスが顔の神経を攻撃する病気で、疲れやストレスで免疫が落ちてしまうと、静かにしていたウィルスが暴れだして神経を障害します。
ベル麻痺
単純ヘルペスウイルスが関与により発症する(60%以上の原因と言われる)
(症状)
・ほうれい線の溝が無くなる
・口角が下がってしまい食物(特に液体)が口から漏れる
・顔の半分が思うように動かない
・目を閉じることができない
・口笛を吹くことができない
など
ハント症候群
水痘・帯状疱疹ウイルスの関与により発症する(約20%の原因と言われる)
(症状)
・耳の痛み
・突然顔が動かしづらくなる
など
☆早期に適切な初期治療を行うことにより、改善が期待できます。
検査
〈柳原法〉麻痺の程度を点数化する方法で、顔面神経麻痺の重症度を測定する事ができます。
ほかに、聴力検査や眼振検査で内耳神経の障害の確認を行います。
☆中枢性麻痺を疑う場合は、脳神経外科や脳神経内科の診断と治療が必要となります。
治療の大切なポイント
大切なのは、早期の耳鼻科受診と治療開始です。
顔面神経麻痺はウイルス性のものが多く、原因が特定できると治療方法(ウィルスを特定して抗ウィルス薬)が決まります。
早期の原因特定が、早期治療に繋がります。
末梢性顔面神経麻痺と診断された場合は、できるだけ早く治療を行うことが望ましいと言われています。
東洋医学的考え方
東洋医学では、病気の原因は内因と外因によるものがあると言われています。
顔面神経麻痺の場合は、外因が深く関わっていると考えられています。
外因とは…
生活素因
暴飲暴食や過労、性生活が過剰、睡眠が不規則、運動不足などにより日常生活が乱れていることが原因になるものです。
自然素因
環境の変化や、体の外から来る病因によるものです。
自然界の気候の変化を「風・寒・暑・湿・燥・熱」の6つに分けられ、それらが人体に影響して病変が起きる状態を「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・熱邪」と呼びます。
顔面神経麻痺の東洋医学での原因(=外因)
東洋医学では、末梢性顔面神経麻痺は風邪と寒邪が合わさった病変だと考えられています。
風邪は
・突然発症する
・変化が多い
・人体の表面部分をおかしやすい
などの特徴があり、風邪によって顔面部の経絡の流通が妨げられて、運動麻痺や痺れ、痛みなどが発症すると考えられています。
寒邪は
・全身あるいは局所の寒冷症状
・固定制の疼痛や筋肉のひきつれ
・体が冷えると症状が強く出る
などの特徴があり、ストレスや生活の不摂生などにより、体の防御反応が弱くなってきた際に顔面部に寒邪が侵入しやすく、神経麻痺が起きます。
当院での治療
末梢生顔面神経麻痺は、ウィルス性が多く、疲れやストレスで免疫力低下の状態で発症し易いです。
自律神経のバランスを調節することで免疫力や自然治癒力を上げていきます。
また、顔面神経麻痺の方は首肩の筋緊張が強い場合が多いので、それらの緊張を取っていってあげる事も大切です。
顔面神経や、顔面神経管などの周辺組織の血流が改善されると、麻痺の回復を促す効果があるので、その周辺に鍼や灸で刺激を加えていきます。