蓄膿症とは
蓄膿症とは「副鼻腔炎」のことを指し、副鼻腔の炎症が慢性的に続くことで、膿が溜まることです。蓄膿症を放置すると、嗅覚障害のみならず副鼻腔の周辺の骨にまで炎症が広がり、ひどい場合は失明のリスクがあります。
また、脳にまで膿が広がることもあります。
「急性副鼻腔炎」と「慢性副鼻腔炎」があり、急性副鼻腔炎は自然治癒できる可能性が高いですが、慢性副鼻腔炎になると早期の治療が必要となります。
蓄膿症の症状
蓄膿症の症状、前兆としては次のものが挙げられます。
鼻水、鼻詰まり、嗅覚障害、後鼻漏(鼻水が喉の方に流れること)、鼻から嫌な匂いがする、顔面の痛みや圧迫感、そして蓄膿症の症状で1番見られる症状として、「ドロッと粘り気のあ黄色または黄緑の鼻水」です。
症状がアレルギー性鼻炎と似ている部分のあるため、見極めることが大切です。症状がひどくなると、集中力の低下、睡眠の質の低下、倦怠感や頭痛など日常生活に支障が出てきます。精神的なストレスの対処も必要です。
蓄膿症の原因
蓄膿症の主な原因は、細菌やウイルス感染、アレルギーによる炎症、真菌、鼻中隔湾曲などの鼻の中の形態の異常、遺伝などが挙げられます。
さらに、原因の一つに「鼻茸(鼻ポリープ)」があり、鼻の粘膜が白く膨らみ、キノコのように見える状態です。鼻茸ができることによって症状の悪化や、治りにくくなります。
蓄膿症の検査と診断方法
画像検査
頭部のレントゲンやCT検査で、鼻の中にどのくらい膿が溜まっているかを確認します。
内視鏡検査
内視鏡(カメラのついた細い棒状のもの)を使い、鼻の中を直接確認します。鼻茸の有無や、鼻水の具合、炎症箇所を見つけることができます。
血液検査
蓄膿症を発症すると、好酸球の数値が上昇するため、血液検査で確認します。好酸球増えると体のあらゆる神経や臓器が炎症を起こし、損傷する恐れがあります。また、アレルゲンの特定のための血液検査も行う場合があります。
嗅覚検査
嗅覚検査には2つの方法があります。
基準嗅覚検査
基準嗅覚検査は5種類の香りを、薄い香りの順から順番に嗅ぎ、香りの種類を判別する検査です。
静脈性(血行性)嗅覚検査
静脈性(血行性)嗅覚検査とはアリナミン注射(通常注射をするとニンニクのような匂いが伴う)を行い、匂いがするまでの時間の間隔や匂いがしなくなるまでの時間を検査します。
鼻腔通気度検査
鼻の通りを確認鼻詰まりの程度を検査します。
蓄膿症の治療法
薬物療法
抗生物質(抗菌薬)、ステロイドなど薬を内服薬や点鼻薬にて投与します。症状が長引く場合にはマクロライド系の抗生物質を少量ずつ長期間に渡って副用する治療もあります。
ネブライザー療法
薬液を細かい霧状にして直接鼻から吸引する治療法です。薬液が直接患部に行き渡るので、即効性のある治療法です。
内視鏡手術
蓄膿症の手術は内視鏡を用いて行うことが多いです。鼻茸の切除や、膿の取り出し、鼻腔を広げて、空気の通りを良くします。出血や痛みが少なく、短時間で行える手術になります。
その他にも局所療法として、鼻水や膿を直接吸引したり、生理食塩水による鼻洗浄、頬の腫れや痛みが強い場合は麻酔をして、直接副鼻腔に針を刺し、生理食塩水で洗浄を行う「副鼻腔洗浄」が行われる場合があります。
蓄膿症になりやすい人
蓄膿症になりやすい年齢層は30〜50代の男性に多いです。また喫煙者やよくお酒を飲まれる方は蓄膿症を発症するリスクが上昇します。喫煙は鼻の粘膜を弱め、最近が感染しやすくなります。同様に飲酒も鼻の粘膜を腫れ、鼻詰まりを起こしやすくさせます。喘息や気管支を患っている方も注意が必要で、蓄膿症を併発することが多々あります。
蓄膿症と鍼灸
当院では蓄膿症緩和のための施術として、鼻周り中心の局所的な施術はもちろん、全身を整え、免疫力をあげる施術を行います。免疫力が上がることによりウイルスや細菌に感染しにくい体づくりが見込めます。
主に、蓄膿症の施術時に関連する鼻周りツボは以下のものになります。
●迎香(げいこう)
小鼻の両脇、へこんだところ。
●巨髎(こりょう)
瞳の中央から下ろした線と、小鼻の横の線を結んだところ。頬の下の大きな窪み。
●印堂(いんどう)
眉間の中央にある、へこんだところ。
●上星(じょうせい)
生え際の中央から、指1本分後ろに下がったところ。