気管支炎とは
気管支炎とは、気管支(喉から肺につながる気管が、左右の肺に枝分かれしている細い管。空気の通り道)が炎症を起こし、咳や痰、胸の痛みなどの呼吸器の症状を引き起こす病気です。呼吸器の症状以外にも、発熱や、倦怠感、鼻水、喉の痛みなどの風邪に似た症状が現れる方もいます。
特に咳はなかなか治りにくい症状であり、喘息や肺炎など重症化することもあります。
また気管支炎には急性気管支炎と慢性気管支炎に分けられ、急性気管支炎は主に数日から数週間で症状が落ち着くのに対し、慢性気管支炎は数ヶ月から数年に渡り症状が続き、粘り気のある痰が出るのが特徴です。
気管支炎の原因
気管支炎の原因は、気管支にウイルスや細菌の感染により発症します。ほとんどはウイルス性気管支炎に分類され、ウイルスの感染力が強くなる冬に発症するケースが多いです。
原因となるウイルスはインフルエンザ桿菌、アデノウイルス、ライノウイルス、肺炎球菌が多く、細菌はマイコプラズマ、クラミジア、百日咳菌、黄色ブドウ球菌によるものが多いです。
また、アレルギーにより、気管支炎を引き起こす場合もあります。ハウスダストやダニなどのアレルゲンが原因となるのです。
慢性気管支炎などの呼吸器疾患の原因に「喫煙」挙げられます。タバコには化学物質や有害物質が数百種類以上含まれています。長年タバコを吸い続けると、気管が乾燥して、咳や痰が出やすくなります。そうなると、気管が狭くなり炎症を起こしやすくなります。慢性気管支炎を放置すると、呼吸困難を起こし、心不全や呼吸器不全により死に至る「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」が発症するケースが急増していています。
また、気管支炎とストレスは深い関わりがあります。ストレスは免疫力を著しく低下させ、体内にウイルスや細菌を侵入がしやすくなります。ストレスによる心のダメージより、自律神経や自己免疫機能が乱れ、健康な体を保つことが難しくなります。ストレスを軽減させることで、気管支炎になりづらくなったり、気管支炎が治りやすくなります。自分に合ったストレス発散の仕方を見つけ、実践しましょう。
気管支炎の検査
気管支炎は、症状の問診、心音の聴診器などで診断します。合併症の有無やその他の病気との区別のために必要に応じて以下の検査を行います。
レントゲン検査
気管支炎が疑われる場合は胸部X線検査をします。肺に炎症が起きている箇所が白っぽく映るため、肺炎の有無を検査します。
血液検査
ウイルス感染や細菌感染による気管支炎の場合、炎症反応が上昇します。そのため、血液検査により白血球や血小板の数値を確認し、悪性腫瘍、感染症、心筋梗塞の有無を検査します。
また、アレルギーによる気管支炎については、アレルギンを特定するための血液検査を行います。
喀痰(かくたん)検査
喀痰検査とは痰を採取して、その中にどのような病原体が含まれているかを、顕微鏡を用いて検査します。
呼吸、肺機能検査
モストグリフ
気管が狭さを確認する検査です。空気の通り具合を測定することができます。
スパイロメトリー
肺活量を調べることができ、肺の働きが正常かどうかを検査します。1秒量(1秒間に一気に息を吐き出せる数値)を測定することができ、気管に炎症が起きていると、数値が低くなります。
気管支炎の西洋医学的治療法
ウイルスによる気管支炎は、対処療法を行います。痰の排出を促す「去痰薬」、咳を止める「咳止め薬」、発熱や喉の痛みには「解熱鎮痛薬」を使用して、症状の緩和を目指します。細菌による気管支炎には「抗生物質」や「抗菌薬」の投与を行います。
気管支炎の原因を見極め、早期に治療を開始することが大切です。
気管支炎と東洋医学
気管支炎は東洋医学的観点からみると、五臓六腑の「肺」、「痰飲(たんいん)」と繋がりがあると考えられています。「肺は気をつかさどる」と言われ、肺は空気中から必要な成分を体内に取り込み、体内で不要になった成分を吐き出す役割があります。肺の機能が正常でないと、咳が出やすくなり、痰のキレも悪くなります。また、痰飲とは体内に停滞した余分な水分のことを指し、痰の量が多くなる症状がでてきます。鍼灸により「肺」の機能の正常化と、「痰飲」の症状の緩和のために、体内の水分の排出を促します。
また、鍼灸には免疫力を向上させることができます。免疫力をあげ自然治癒力を高めることにより、気管支炎の症状の緩和や、再発の防止が期待できます。
自律神経に直接働きかけるツボを鍼をすることにより、自律神経が整い、咳などの発作を未然に防ぐことができます。さらに安眠やストレスの緩和など生活の質の向上が見込めます。
ぜひ気管支炎の長引く咳や痰でお困りの方は、鍼灸をお試しください。