腰椎椎間板ヘルニアとは

そもそもヘルニアとは体内の組織の一部が本来あるべき場所ではない部分に飛び出してしまい、神経を圧迫してしまう状態をさします。

腰椎椎間板ヘルニアとは腰椎椎骨(腰部分にある背骨を形成する骨のこと)の間にある椎間板の一部が変形、損傷して外に飛び出してしまい、神経を圧迫して起こる病気です。
腰椎椎骨は5つあり、それぞれの間にある椎間板は上下の腰椎椎骨を支える役割を担っており、クッションへ性がある組織です。

椎間板が変形、損傷する原因は、腰に負担のかかる重労働、長時間の車の運転、喫煙者など、日常生活の中で積み重なりヘルニアを発症します。また、急に重いものを持ち上げたりすることも発症の原因となります。

腰椎椎間板ヘルニアと急性馬尾症候群

腰椎椎間板ヘルニアが悪化し、症状が急激に重くなることを、「急性馬尾症候群」といいます。痛みの悪化、排尿排便障害、下半身の感覚麻痺や痺れが現れたら注意が必要が必要です。
「馬尾」とは腰部分にある脊髄神経根の束であり、馬の尻尾に似ていることからその名がつけられています。その馬尾全体が圧迫されて起こる病気を急性馬尾症候群と言います。

急性馬尾症候群の治療は主に腫れを引かせるための、ステロイド投与、そしてほとんどの場合、手術が行われます。神経症状の回復には２４時間以内の手術が鍵とされているため、緊急手術が適応されます。

腰椎椎間板ヘルニアの症状とタイプ

腰椎椎間板ヘルニアには「馬尾型」と「神経根型」の2種類があり「馬尾型」の方が重症になります。

「神経根型」の症状は主に下肢の痛み、痺れが生じます。

そのほかに、両足の裏側の痺れ、お尻付近の痺れやほてり、歩行時の失禁など、症状が現れた場合は、「馬尾型」が疑われます。放置すると、排尿障害や歩行困難になるなど、重症化の危険性があるので、早めの受診を心がけましょう。

腰椎椎間板ヘルニアの病院での治療法

病院では、レントゲン撮影、MRI、CT、脊髄造影検査などの画像検査で診断を行います。
腰椎椎間板ヘルニアの約8割が自然治癒で緩和することが多く、保存療法を行い、安静を保つことが大切です。腰のコルセットや、腰部分のマッサージなどの理学的療法を並行して行うこともあります。
また、痛みを抑えるために、消炎鎮痛薬の飲み薬や貼り薬を用いたり、さらに痛みが強い場合は、直接患部に神経ブロック注射を行います。

上記の治療でも症状が改善しない場合は手術をして、神経を圧迫している椎間板の組織を切除します。最近では、内視鏡やレーザーでの手術が用いられ、日帰りで帰れること、小さな傷で済むことが特徴とされています。

腰椎椎間板ヘルニアと東洋医学

腰椎椎間板ヘルニアと五臓六腑の「腎」は深い繋がりがあります。五臓六腑とは東洋医学の考え方で、五臓は心臓・肺臓・肝臓・腎臓・脾臓からなり、六腑は胃・小腸・大腸・膀胱・胆嚢・三焦から成り立っています。腰は「腎の府」と呼ばれ、腎の働きが低下することを、「腎虚」といいます。腎虚には下記の2つのタイプがあります。

腎陽虚(じんようきょ)

腎陽虚とは腎の機能が衰えることにより、体内が水分不足になっている状態のことです。体のほてり、目や肌の乾燥、頻繁な喉の渇きが症状として現れます。こまめな水分補給を行うことがたいせつです。

腎陰虚(じんいんきょ)

腎陰虚とは腎の機能が衰えることにより、体が冷えている状態のことです。手足や下半身の冷え、頻尿、冷えると腰や関節が痛くなる症状が現れます。腹巻きなどで腰回りを温めたり、温かい飲み物を飲むことを心がけましょう。

当院では、腎の機能を高め、免疫力や自然治癒力をあげる施術を中心に行います。また、腎陽虚や腎陰虚の「陽」と「陰」のバランスを整えることが大切です。

腰椎椎間板ヘルニアの予防と対策

腰椎椎間板ヘルニアを予防するためには、日ごろから腰に負担をかけないこと、そして腰回りの柔軟性を上げること、腰を支える筋肉を鍛えることが重要です。
また、過度な体重の増加は腰を負担をかける原因となるので、食生活を見直すことも大切です。長時間の同じ姿勢、仕事や家事、前屈みの姿勢の後などは、適度に休憩をし、ストレッチをしましょう。
そして、筋力を上げるためにウォーキング、水中ウォーキング、ジョギングなども効果的な運動です。これらは、既に発症している方にも再発防止に有効的であり、無理せずできる範囲で行いましょう。