ゴルフ肘とは
ゴルフ肘はゴルフエルボー、上腕骨内側上顆炎とも呼ばれ、上腕骨内側上顆部の炎症により肘の内側に痛みが生じます。主にゴルファーを中心に手首から前腕を過度に使うスポーツによって発症することが多いスポーツ障害です。
しかし、スポーツだけが要因ではありません。日常的に腕を酷使する方も発症しやすく、重いものを持ったり、手首を捻る、屈曲させる動作が多い職業の方にも見られる怪我です。例えば、工具を使う職人さんや、家事やデスクワークによっても発症します。肘の内側にズキズキとした痛みや、薬指や小指の痺れ、手や手首、腕に力が入りにくいといった症状が挙げられます。
ゴルフ肘の原因
ゴルフ肘とは、内側上顆(肘の内側にある骨)に付着している筋肉の炎症が原因です。主に手首を手のひら側に繰り返し過度に動かすこで起こります。スポーツ前のストレッチ不足、間違った前腕の使い方、加齢による筋力の低下、柔軟性の低下により発症しやすくなります。多くの場合は安静にすることで症状は落ち着きますが、痛みがとれず、日常生活に支障をきたす場合は早めの受診を心がけましょう。
ゴルフ肘の検査方法と診断基準
圧痛
圧痛とは皮膚を圧迫し、その際に痛みが生じることです。肘を伸ばし、肘の内側にある骨を「内側上顆」付近を押すと痛みが生じます。
手観察屈曲テスト
手首を内側に曲げる動作をすると、肘の内側に痛みが生じます。
レントゲン検査
レントゲン検査では、骨の異常を検査します。ゴルフ肘は主に腱や腱付近の炎症によって起こるため、骨に異常をきたすことはありませんが、重症化すると、腱に石灰化した沈着物が溜まることがあり、それがレントゲン上で白くモヤモヤしたものが写ることがあります。
超音波検査
超音波検査では、レントゲン検査ではわからない、損傷や炎症を確認することを確認することができます。
以上の検査をすることで、痛みの有無や、異常がある場合はゴルフ肘と診断されます。
ゴルフ肘の治療薬
痛み止め薬
痛みが強い場合は痛み止め薬の服用や、湿布を患部に貼ることで炎症を鎮めることができます。
ステロイド注射
痛み止め薬の服用でも痛みがひどい場合は、ステロイド注射を患部に直接治療薬注射します。個人差はありますが、一度の注射で1〜2ヶ月ほど症状が改善します。しかし、ステロイド注射は根本的な治療法ではないため、リハビリテーションを並行して行うことが大切です。
リハビリテーション
リハビリではストレッチを、筋力を上げるための運動をします。ゴルフ肘予防にも大きな効果があります。その他にも、温熱療法、超音波療法、レーザー療法などの理学療法を用いて患部の炎症を抑えます。
手術
上記の治療方で改善しない、重度のゴルフ肘には手術を行います。腱や関節付近の炎症が起きている部分や、炎症で変形している部分を切除する手術です。関節鏡視下手術で行われ、細い棒状の先端に小さなカメラが搭載された道具を用いて、関節の状態をモニターで映し出しながら行う手術です。大きく切開しないため、傷口の治りが早く、早期にリハビリテーションを行うことができます。
カテーテル治療
最近では新しい治療の選択肢として、カテーテル治療が用いられることが多くなりました。痛みの生じる部位付近の血管に異常が起きていることを「モヤモヤ血管」と呼ばれます。このモヤモヤ血管をカテーテルによって正常に戻すことによって、痛みを抑えるという治療法です。モヤモヤ血管はエコーや血管造影検査で発見することができます。指の付け根から血管にカテーテルを入れ、直接薬を投与します。投与した瞬間からモヤモヤ血管は消失し、治療自体も30分以内で終わるため、体への負担が少ない治療法となりす。通常は1ヶ月後あたりから高い効果が現れ、再発がしにくい治療法として注目されています。
ゴルフ肘と鍼灸施術
ゴルフ肘に対する施術は主に以下のツボを重点的に刺激します。
●陽池(ようち)
手首の甲側にあり、手首の真ん中にあるツボ。
●四瀆(しとく)
手の甲側。前腕外側の真ん中にあるツボ。
●大稜(だいりょう)
手のひら側にあり、手首の真ん中にあるツボ。
●曲沢(きょくたく)
肘の真ん中にあるツボ。
●肩貞(けんてい)
肩甲骨の隣。脇の下のシワの1番上から親指一本分上にあるツボ。
前腕のみならず、肩周りの筋肉をほぐすことで、血流がさらに良くなり、自然治癒力が向上します。さら、患部周辺のマッサージや整体療法によって、筋肉をほぐし、痛みの緩和を目指します。