メニエール病とは
メニエール病とは耳の病気です。耳の症状の他に、めまい、耳鳴りや難聴、ふらつきなどの症状が伴います。特にめまいは「回転性めまい」と呼ばれ、ぐるぐると回るような激しいめまいが10分以上続くことが特徴です。それにより強い頭痛や、吐き気や嘔吐が引き起こされることもあります。
メニエール病を放置して、無理をし続けるとより症状が悪化し、悪循環が生じます。
よく似た病気に「突発性難聴」あり、見極めが必要です。強いめまいや、耳の違和感、聞こえ方に異変を感じたら、早急に専門医への受診をおすすめします。
メニエール病の原因
メニエール病は、「内リンパ水腫」と呼ばれ、内耳の音を感じ取る「蝸牛」や、平衡感覚に関係する「三半規管」や「耳石器」などのリンパ液が増えて、水ぶくれやむくみが起こり、発症する病気です。ストレス、睡眠不足、悪天候(気圧の変化)、運動不足が引き金となり発症します。女性に多いイメージがありますが、男女差はほとんどなく、主に30代から50代の育児や働き盛りの男女に多く見られる病気です。
メニエール病の診断方法
メニエール病の特徴は「反復」となります。10分以上のめまいや耳鳴りが繰り返し起こることです。1度きりの症状ではメニエール病とは診断されません。反復した症状がある場合、次の検査に進みます。
重心動揺検査
以下の重心動揺検査を開眼時、閉眼時に行い、体のバランスを確認します。大幅に左右前後に体が偏りが出る場合は、内耳障害があると診断されます。
●直立検査 片足で立ち、体のバランスを調べる検査です。
●足踏み検査 30秒間その場で足踏みをし、体のバランスを調べる検査です。
聴力検査
メニエール病は低い音が聞こえにくくなる「低音障害型難聴」になるのが特徴です。そのため、純音聴力検査を行い、聴覚の異常を診断します。
眼振検査
めまいの症状があると、無自覚で眼球の震えが起こります。フレンツェル赤外線眼鏡と呼ばれる特殊な眼鏡を用いて、目の動きの異変を詳しく検査することができます。
画像検査
造影剤を用いてMRI検査を行い、内耳のむくみを確認して、内リンパ水腫の診断を行います。
メニエール病の治療法
水分摂取療法
メニエール病は内耳に水が多く溜まることによって発症するため、内耳の中の水はけをよくするために、積極的に水を飲み、尿と共に排出させることが有効だとされています。1日約2リットルほどの水をこまめに飲むことが重要です。
薬物療法
「内耳循環改善薬(抗めまい薬)」めまいを抑える薬、「吐き気止め」、内耳内の水の溜まりを抑制する「利尿剤」を使用します。症状がひどい場合はステロイドを使用することもあります。症状が落ち着いてきたら、神経の炎症を修復を促す「ビタミン剤」や、ストレスに対して「抗不安薬」を使用してメニエール病の再発防止を行います。
鼓室内注入療法
鼓膜内に注射針を刺し、直接薬剤を注入する方法です。主に薬剤は「ゲンタマイシン」と呼ばれる抗生物質が使用され、内耳内のリンパ液が溜まることを抑制する効果があります。
手術
●内リンパ嚢解放術
内リンパ嚢と呼ばれる袋を開けて、リンパの流れを促す手術です。内リンパ嚢に直接ステロイドを注入するとこもでき、効果の高い手術です。
●前庭神経切断術
前庭神経と呼ばれるめまいの原因となる神経を切断する手術です。効果の高い手術ですが頭蓋骨を開けて行うため、大掛かりな手術となります。
メニエール病は日常生活のストレスが大きく関わっていることもあるため、生活習慣を整えることが大切です。十分な睡眠をとり、有酸素運動などの軽い運動が効果的です。
メニエール病と鍼灸
メニエール病は耳と深い繋がりがあります。東洋医学的観点から見ると、「腎は耳に開竅(かいきょう)する」とされ、鍼灸によって腎の働きを正常に戻すことで、症状の緩和が期待できます。
また、メニエール病を患っている方は自律神経が乱れているケースが多いため、自律神経測定器を用いて、交感神経と副交感神経の乱れを測定し、自律神経を整える施術を行います。
そして、耳周辺や頸部の筋肉の緊張を緩めます。自律神経が整い、筋緊張がほぐれる事により、ストレスの緩和や睡眠の質の向上が期待できます。
メニエール病によって引き起こされるめまいは水分代謝障害とされ、根本的な体質の改善をすることが大切です。そのためには胃腸などの臓器周辺への鍼灸を行うことで血液、リンパ液の循環が促進し、余分な水分が体に停滞することを防ぐことができます。