アキレス腱炎とは
ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ腱のことを「アキレス腱」といい、このアキレス腱が炎症を起こしている状態をアキレス腱炎と言います。
アキレス腱炎の症状として、ふくらはぎからかかとにかけての痛みや腫れ、歩き出す時やつま先立ちの時のかかとの痛みが現れます。症状が悪化すると、安静時にも常に痛みが生じたり、アキレス腱に負荷がかかり続けることにより、アキレス腱がもろくなり、アキレス腱断裂など重症化する場合があります。日常生活に支障をきたす前に病院への受診をおすすめします。
また、アキレス腱はパラテノンと呼ばれる膜が覆われています。このパラテノン炎症が起きることを「アキレス腱周囲炎」と呼ばれ、酷似した病気があります。
アキレス腱炎の原因
運動時にアキレス腱に負荷がかかることが繰り返されることによって発症します。特にスポーツ時のアキレス腱のオーバーユーズ(使いすぎ)によって発症するため、マラソンやランニング、ダンスやバレエ、サッカー、ウィンタースポーツなどのスポーツはよりアキレス腱炎になるリスクが高いです。そのほかにも、足に合わない靴を履いている、扁平足である、肥満によるアキレス腱への負荷、加齢によりアキレス腱にもろくなることによる発症があげられます。また、姿勢への崩れや、間違ったフォームでの運動でもアキレス腱炎は発症にします。
アキレス腱炎の診断法と治療法
アキレス腱炎の診断方法
医師の診察にて、身体検査を行い、痛む箇所や腫れから診断することも可能ですが、さらに詳しく検査を行う場合には、MRI検査を行いアキレス腱やその周囲の炎症を画像にて診断します。また、超音波検査でも腫れの有無や状態を確認したり、モヤモヤ血管(アキレス腱にできる異常な血管)を診断することができます。
アキレス腱炎の治療法
●保存療法
痛みを抑えるために、運動を控え安静な状態を維持し、炎症を抑えるための内服薬や湿布薬を用いる保存療法を行います。また、アキレス腱炎にはアイシングが有効的とされ、患部を冷やすことで痛みが落ち着くことがあります。
●運動療法
保存療法で炎症が落ち着いたら、運動療法にてリハビリテーションを行います。アキレス腱付近の関節の可動域の柔軟性を高めて、筋力を改善させます。スポーツによる発症の場合は、そのスポーツの競技特性を理解し、再発防止のためのリハビリを行います。
●体外衝撃波治療
衝撃波を皮膚の上から患部に照射する治療です。1回10〜15分の治療時間を期間を空けて複数回行います。体への負担や副作用はほとんどないため、治療後すぐに歩行が可能です。初めは低レベルの照射から始める、徐々に出力を上げていきます。
●手術療法
モヤモヤ血管が原因のアキレス腱炎にはカテーテル治療が適応され、優れた効果があります。また、稀に重症化しているアキレス腱炎の場合は、アキレス腱を再建する手術を行うことがあります。
アキレス腱炎と鍼灸施術
当院の施術は痛みや腫れの緩和を第一に行います。圧痛部(皮膚の上から押すと痛む箇所)や、その周辺に鍼を打ち、ふくらはぎからかかとにかけての筋肉の硬直を緩和させます。さらに「電気鍼療法」と呼ばれる、鍼に電極をつなげて、微力の電流を患部に流し、血流をよくするための施術も行います。腫れがひどい場合には「お灸」による温熱施術〜を行います。お灸とはモグサを皮膚(ツボ)の上にのせて燃やし、患部を温める施術です。細胞が活性化され、炎症の緩和が期待できます。当院では火傷の危険が一切ないお灸を使用していますので安心して施術を行うことができます。
アキレス腱炎を予防するために
日頃からアキレス腱の柔軟性を高めることが大切です。足首を回し、アキレス腱を伸ばすストレッチを行いましょう。出かける前や運動をする前、またお風呂上がりなどの体が温まった状態のときにストレッチをすることでアキレス腱の柔軟性が高まります。また、運動後にはアキレス腱付近をすアイシングすることで炎症を防ぐ効果があります。
普段から履く靴にも注意が必要で、かかとへの負担を和らげるインソールを使うことも予防に繋がります。インソールでは体のバランスを保つためのサポートをする役割もあるので、自分の足に合ったものを見つけましょう。
スポーツを頻繁行う方、ふくらはぎからかかとの周囲に痛みや違和感を感じる方、アキレス腱炎でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。