ぎっくり腰とは
ぎっくり腰の医学的正式名称は「急性腰痛」「椎間捻挫」といいます。なんからの拍子で腰に負荷がかかり、腰に激痛な痛みを伴う症状です。急激に発症し、激しい痛みを伴うことから欧米では「悪魔の一撃」とも呼ばれています。通常は安静にすることで自然回復していきますが、状態によっては他の病気が隠れていることがあります。状態を見極め、早めの受診を心がけましょう。
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰のはっきりとした原因は解明されていませんが、腰の筋肉、関節、椎間板、腱、靱帯の炎症や損傷が挙げられます。
また、これらは次のことが要因とされています。
●筋肉の疲労
●姿勢の歪み
●運動不足
上記に当てはまる方は、ぎっくり腰になる可能性が高くなります。また、睡眠不足やストレスにより自律神経が乱れることもぎっくり腰を引き起こすリスクを高める言われています。重い荷物を持ち上げる動作、スポーツ時はもちろん、立ちあがろうとした時や、くしゃみが原因でぎっくり腰になる方もいます。
日頃から急に腰に負荷がかかる動作を注意して生活しましょう。
痛みが一向に良くならない、余計に痛みがひどくなる、体が動かない、下肢に痺れがあるなどの症状がある場合は、椎間板ヘルニアや、腰椎の圧迫骨折など検査や治療が必要な場合があります。該当する方は整形外科へ受診して適切な処置を受けましょう。
ぎっくり腰の病院での治療法
湿布剤
ぎっくり腰の場合は「冷湿布」を患部に貼ります。湿布には鎮痛消炎成分が入っており、皮膚から吸収され痛みを抑える効果があります。
内服薬 痛み止め薬の服用により、痛みの緩和を図ります。
内服薬
痛み止め薬の服用により、痛みの緩和を図ります。
局所麻酔薬
上記の方法でも痛みが緩和されない場合は、神経ブロック注射と呼ばれる局所麻酔を患部の神経や神経の周辺に注射します。痛みの信号が脳に伝わることをブロックし、交感神経をブロックすることによって血流が促進し、ぎっくり腰改善の効果があります。
器具の着用
腰用のサポーターやコルセットとをすることすることによって、姿勢を固定し、可動域を制限します。それにより、腰への負荷が減り、痛みの誘発を防ぎます。また、痛みがあるところを圧迫することで痛みが軽減することが医学的にも証明しています。サポーターやコルセットは、急性の痛みには効果的ですが、常時使用することは控えましょう。筋力の低下を招きます。
ぎっくり腰と東洋医学
東洋医学の観点からみると、腰は「腎の府」と呼ばれ、五臓のうちの一つである「腎」とぎっくり腰は深い関係性があります。また、ぎっくり腰になるリスクを高める原因は、以下3つのタイプに分類されます。
外界からの邪気
環境の変化や、温度、湿度の変化により、身体の気血の流れが滞り、ぎっくり腰を引き起こしやすくなります。
腎虚(じんきょ)タイプ
加齢や、慢性的な疲労、虚弱体質により、腰に負担がかかりやすくなります。痛みや重だるさを感じます。
気滞血瘀(きたいけつお)タイプ
ストレスや運動不足、悪い姿勢が長時間続く、外傷により、気血が滞り、ぎっくり腰を引き起こしやすくなります。
ぎっくり腰と鍼灸
鍼灸施術では主に以下のツボを刺激します。症状がでいる腰回りはもちろん、足や手にも腰痛に繋がっているツボがあります。局所的な施術共に、全身の血行の循環を改善するための施術を行なっていきます。
●腰周りのツボ
腎兪(じんゆ)
骨盤の上から指4本分上、背骨から指2本分外側。
志室(ししつ)
ウエストに1番細いくびれのライン上。背骨から指4本分外側にあるツボ。
大腸兪(だいちょうゆ)
骨盤の1番高い位置にあり、背骨から指2本分外側。
●足周りのツボ
委中(いちゅう)
膝の裏の中央にあるツボ。
承山(しょうざん)
ふくらはぎの中央にあるツボ。左右の筋肉が分かれるところ。
●手周辺のツボ
腰痛点(ようつうてん)
手の甲にあり、人差し指と中指の骨の間のくぼみにあるツボ。
後渓(こうけい)
小指の側面あり、出っぱっている骨の下にあるツボ。
普段から腰に負担をかけないために、ウォーキングなどの有酸素運動で腰回りの筋力をあげたり、柔軟性を高めるためにストレッチを行うことで、ぎっくり腰への予防ができます。また、食生活や睡眠を正しいサイクルで行うことで、よりリスクを減らせます。
また、普段から腰に負荷をかける、腰痛がある方は、鍼灸による施術が有効的です。定期的な施術で身体を整えましょう。