頸椎椎間板ヘルニアとは

首には、7つの頸椎があります。
それぞれの頸椎の間には上下の頸椎を支えている椎間板があります。椎間板は柔らかくクッション性のある組織です。その椎間板の組織が損傷して、脊髄や神経が圧迫されて起こる病気を頸椎椎間板ヘルニアと言います。

椎間板ヘルニアとは腰のイメージが強いですが、首にも椎間板はあり、スマホの普及、デスクワークが増えた現代では、発症率が急増しています。

頸椎椎間板ヘルニアの症状

初期症状として肩の痛みや、指先の痺れから始まり、症状が深刻化すると、手や腕の感覚麻痺や、排便排尿障害が起こります。早期の治療が重要となりますので、注意しましょう。

頸椎椎間板ヘルニアは椎間板の損傷箇所によって、症状が変わります。

●頸椎
手足の痺れ、首から背中にかけての痛み。

●神経の圧迫
片側の肩甲骨から背中にかけての痛み。指先の痺れ。腕の筋力の低下。感覚障害。

●脊髄の圧迫
手全体の痺れ。足にも症状が出る場合があり、歩行が困難になる。

頸椎椎間板ヘルニアになりやすい人

●加齢
年齢を重ねることによって、椎間板や骨は変化していきます。そのため、椎間板が損傷しやすくなります。

●悪い姿勢
特に背骨に負荷のかかる姿勢の不良は、頸椎に強いストレスを与えます。

●激しいスポーツ
ラグビーや格闘技、ウィンタースポーツなど首を酷使するスポーツ選手に多くみられます。

●重労働
同じ姿勢を長時間する職業や、重い荷物を持つ職業の方は、頸部に大きな負担がかかります。

●喫煙
喫煙は全身の血流を悪化させます。その結果椎間板へ栄養を充分に行き渡らせることができなくなり、椎間板の変形、劣化させます。

●外傷性ヘルニア
交通事故などにより、頚部に大きな衝撃を受けることにより発症します。事故の大小に関わらず発症するため、注意が必要です。

●遺伝的要因
先天的な骨格や、椎間板に遺伝的な要素が関与することにより発症するケースがあります。特に若年層の発症は遺伝的要因が関係してあると考えられています。

頸椎椎間板ヘルニアと西洋医学

診断検査

レントゲン撮影、MRI、CT、脊髄造影検査などの画像検査が主になります。特にMRIはヘルニアを特定しやすいため、MRIのある病院を受診することが確実な診断をする上で大切なポイントになります。

治療方法

まず保存療法(手術をしない治療)を行います。頸椎を安静に保つことが大切で、頸椎カラー装具を装着します。それによって首の動きを制限し、頸椎の負担を減らします。
さらに痛みを抑えるために、消炎鎮痛薬の飲み薬や貼り薬を用いたり、さらに痛みが強い場合は、直接患部に神経ブロック注射を行います。麻酔の効果があるため、痛みを和らげることができます。
また、ビタミンB12は神経の損傷の修復を促す作用があるとされ、治療薬として用いられます。

重度の頸椎椎間板ヘルニアには手術が推奨されます。「前方固定術」と呼ばれる、椎間板の損傷部分や神経の圧迫を取り除く手術が多く行われてきましたが、最近では内視鏡を使った手術が行われることが多く、小さな傷で済むこと、安全性が高いことが特徴です。

頸椎椎間板ヘルニアと鍼灸

頸椎椎間板ヘルニアの痛みや痺れでお困りの方は、鍼灸の施術を続けることによって、劇的に改善します。
椎間板ヘルニアに効くツボに鍼をすることにより、血流が良くなり、椎間板へ栄養を行き渡らせることができます。また、鍼には神経の炎症を抑制したり、筋肉の硬直を緩和させることができるため、再発を防ぐこともできます。

慢性的なヘルニアには、「お灸」による温熱施術も並行して行います。お灸とはモグサを皮膚(ツボ)の上にのせて燃やし、患部を温める施術です。血流が改善されて、細胞が活性化され、免疫力の向上、炎症の緩和が期待できます。
当院では火傷の危険が一切ないお灸を使用しています。心地の良い温度で、心身共にリラックスすることもできます。

頸椎椎間板ヘルニアにならないために

鍼灸ではヘルニアになりにくい身体づくりを目指しています。
日常生活で頸部に負荷のかかる場面が多い方は定期的な施術をおすすめします。日頃からケアすることにより、全身のバランスが整いヘルニアの発症を防ぐことができます。

頸椎に衝撃を受けた方、首から背中にかけての違和感がある方は、早期の施術により、痛みや痺れを最小限に抑えることができます。
また、症状が落ち着いたからと、施術を辞めるのではなく、再発防止のための身体づくりをしましょう。