五十肩とは
五十肩は別名「肩関節周囲炎」と呼ばれます。肩周りの関節の痛みや、肩をあげられない、肩を後方に回すことができにくいなど、肩が動かしにくいと言った症状です。名前の通り、40歳から50歳で発症することが多い症状です。肩こりと勘違いされる方が多いですが、肩こりは筋肉の緊張から起こる症状であるため、五十肩とはまったく異なります。
また肩の痛みを安易に考え、放置してしまうと、「腱板断裂」など重い疾患の場合があります。「腱板断裂」と五十肩は混同されること多いですが、現代の技術の進歩によって医療機関で正確な診断を受けることができます。早めの受診を心がけましょう。
五十肩の原因
五十肩の明確な原因は明らかになっていませんが、加齢により、肩の周辺組織が炎症を起こすことによって腫れや、痛みが生じます。また、年齢を重ねることにより血液循環がスムーズに行われず、悪化することにより五十肩になるリスクが高くなると考えられています。
五十肩の痛みの段階
急性期
この時期は肩周辺組織の炎症により、痛みがとても強いです。夜間時痛や安静時痛も現れます。しかし無理をすれば肩を動かすことができるのが特徴です。個人差はありますが、1ヶ月から2ヶ月続きます。
慢性期
急性期の激痛は徐々に緩和します。しかし、肩を動かすと痛みがでます。肩の可動域を広げるための運動を少しづつ行いましょう。
回復期
痛みが軽減します。肩も次第に動かせるようになっていくため、元の筋肉を取り戻す運動を行いましょう。
病院での診断方法と治療薬
1週間以上痛みが続く場合は、整形外科への受診をおすすめします。病院では、レントゲン撮影、MRI、超音波検査、関節造影検査などを行い、考えうる病気と区別します。自然に治ることもありますが、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は、痛みの段階によって以下の治療が行われます。
急性期
消炎鎮痛薬の飲み薬や貼り薬で痛みを和らげる治療を行います。さらに痛みが強い場合は、直接患部にステロイド入りの局所注射を行います。
慢性期.回復期
急性期を過ぎたら、温熱療法や運動療法を用いてリハビリを行います。
温熱療法
温熱療法とはホットパック、カイロ、入浴などで肩周辺の筋肉を温めて緩めます。血行が良くなることにより方の可動域を広げることができます。
運動療法
運動療法とは五十肩体操と呼ばれる運動により、肩の周辺組織の拘縮予防や、筋肉の強化するためのリハビリです。
五十肩体操とは、振り子体操、うちわ扇ぎ体操、キャットアンドドッグ体操などが挙げられ、肩甲骨周囲筋を柔らかくして、肩の可動域を広げる運動のことです。
これらの方法で回復しない場合は、関節鏡下授動術と呼ばれる内視鏡を使った手術を行っています。肩の可動域を広げるための手術です。
五十肩と東洋医学
東洋医学では40代を過ぎると五臓六腑の「腎」の働きが弱くなると言われています。「腎」の働きが衰えると、体のバリア機能が低下し、外からの刺激から身を守ることができにくくなります。そのため、自然環境の変化(気温差や、冷たい雨風にあたるなど)により気血が滞り、肩の痛みを引き起こす原因の1つとなると考えられています。気血の流れを促すことに、体のバリア機能を正常に戻す施術が必要となります。
五十肩と鍼灸
鍼灸の施術では以下のツボを刺激します。
●肩ぐう(けんぐう)
肩の先端にあり、腕を水平に伸ばしたときにくぼみができるところ。
●肩りょう(けんりょう)
肩ぐうから指2本下に下がったところ
●肩井(けんせい)
首の付け根と肩先を結んだ中央部分。
●天柱(てんちゅう)
首の後ろの生え際付近。首の太い骨の外側のツボ。
●手三里(てさんり)
腕の外側にあるツボ。腕を曲げた時に出来るシワから手首側に指3本分ところ。
●中府(ちゅうふ)
鎖骨外側部分から指2本したにさがったところ。
鍼灸は脳や神経に働きかけ、痛みを抑制することができます。また、患部の血行が促されることにより、拘縮が進行を止め、早期回復が見込めます。痛みが強い急性期に早めの施術をすることにより、スムーズに慢性期、回復期に移行することができます。肩に違和感、痛みを感じたら是非一度当院へご相談ください。