睡眠障害とは
睡眠に関連する様々な病気をまとめて睡眠障害といいます。睡眠障害には以下の病気が挙げられます。
不眠症
不眠症とは寝付きが悪い、途中で起きてしまう、睡眠の質が悪いなどと言った症状が3ヶ月以上続く障害です。
過眠症
過眠症とは十分な睡眠をとっているのにも関わらずに、日中に強い眠気が襲ってくる症状が3ヶ月以上続く障害です。
ナルコレプシー
ナルコレプシーとは過眠症と似た症状です。過眠症は一度に長く寝てしまうことに対し、ナルコレプシーは短い睡眠で一度は目が覚めますが、時間が経つとまた強い眠気が襲ってくる症状です。
睡眠時呼吸障害
睡眠時呼吸障害とは異常な呼吸が睡眠時に起こる症状です。睡眠時無呼吸症候群とも呼ばれます。一定時間呼吸が止まったり、大きないびきが伴う障害です。
概日リズム障害
概日リズム睡眠障害とは体内時計の周期が崩れ、日常生活や、社会とのリズムがズレてしまう障害です。
睡眠関連運動障害
睡眠関連運動障害の主な疾患として、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害が挙げられます。
●むずむず脚症候群とは
睡眠時に四肢が「むずむず」「かゆい」「痛い」と言った症状が現れ、四肢を動かしたくなり、入眠が妨害される障害。
●周期性四肢運動障害とは
睡眠中に四肢がピクピクと動き、途中で起きてしまったり、眠りが浅くなる障害です。
睡眠時随伴症
睡眠時随伴症とは「ねぼけ」と呼ばれる行動の総称です。悪夢を見たり、歯切り、トイレが近いなどと言った症状です。
睡眠障害の診断方法
睡眠障害の診断には主に以下の種類の検査があります。
●血液検査
睡眠障害による合併症の有無。
●反復睡眠潜時検査(MSLT)
眠気の程度の検査。
●終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠の質、眠りの深さ、睡眠時の酸素の程度、体の動きを確認する検査。
●覚醒維持検査
主に睡眠障害治療後に行い、どのくらい覚醒を維持できるかを確認する検査。
●鼻腔通気度検査
鼻の通りを確認する検査。
●アクチグラフ検査
睡眠時と覚醒時の分布を確認する検査。
睡眠時に異常を感じたら、内科、心療内科、精神科への相談をしましょう。
睡眠障害の治療法
睡眠障害には薬物治療が用いられます。睡眠障害の種類や症状の進行具合により異なりますが、様々な「睡眠薬」を使い分けることで症状を抑えます。
睡眠障害に用いる睡眠薬は大きく「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」 と「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」に分けられます。
比較的依存性が低い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬から治療を開始することが多いです。また、睡眠薬には作用時間ごとに分けられ、超短時間型、短時間型、中時間型、長時間型とそれぞれに睡眠薬があります。
自分に合った治療薬を見つけることが早期改善の鍵となります。
睡眠障害と東洋医学
東洋医学的観点では睡眠障害と五臓六腑は深く関係しており、特に「心」「肝」「脾」の働きやバランスを整えることによって、睡眠障害を改善していきます。
「心」とは主に心臓の働きや、精神を安定させる働きをしているところです。また、全身に血をめぐらせ、大切な栄養分を循環させる重要な役割も担っています。「心」の働きが弱まると、精神が不安定になり、寝付きが悪い、途中で起きてしまうなど、睡眠の質の低下が現れてきます。
「肝」は血を蓄えている貯蔵庫のような働きをする場所です。また、そこで綺麗な血に浄化する役割も担っており、「肝」の働きが低下すると、血が浄化されず、身体に様々な不調をきたします。それにより、睡眠にも影響してきます。
「脾」とは血を生成し、消化吸収をしているところです。「脾」の働きが弱まると、「心」や「肝」が血不足となります。そして、食べ物の消化がうまくいかないとお腹の不調が現れます。これが長引くと不眠に繋がるのです。
鍼灸では、これら「心」「肝」「脾」の働きを正常化させるための施術を行います。
睡眠障害は、環境的要因、身体的要因、精神的要因など様々な要因で引き起こされます。特に近年では、ストレスや緊張、悩み、生活リズムの崩れなど現代社会の問題とされることが原因で睡眠障害を患う方が増加しています。睡眠に異変を感じたり、身体や心の疲労が溜まっている方はぜひ鍼灸で身体を整えることをおすすめします。